カテリーナ

パフューム ある人殺しの物語のカテリーナのレビュー・感想・評価

3.9
ベン・ウィショー

今まで見た事のない作風
ラストは信じられない光景に驚愕する
このラストショットの為に
この映画はある

今までパリの街並みをこんなに
汚く見せた映画があっただろうか?捨てられて山になる生の魚はこちらにまで
そのむせ返る腐臭に しかめ面になる
そのゴミの山に赤ん坊の泣き声が
微かに聞こえた時は耳を疑う

そのパリの通りを若くて美しい娘が
歩く姿を映す
そのうなじから瑞々しいきめの細かい
素肌の淡い香りが漂う
その年代の少女特有の身体中から
発散される
そのかおりに誘われ青年は
ついつい後をつけてしまう
近づくと更にその香りが深くなる
もっと、近くに、もっと
青年は何かに憑かれたようにその香りを
求め その少女のうなじを掴む
悲鳴が上がり驚愕の目で見つめられその青年はその場から離れる

しかし、その香りは
いつまでも青年を捉え、生涯
その香りに取り憑かれる

その青年の嗅覚は
産み落とされた不幸な境遇の
せいもあって人の何倍も鋭く
遠く離れた草花まで嗅ぎ分ける能力があった そして、薔薇の花びらをどれだけ集めても叶わない この世にひとつしか実現できないパヒュームを完成させることになる
しかし、その代償は余りにも大きかった

その青年をベン・ウィショーが
演じる この映画で初めて彼を知り
とてもハンサムとは言えない彼の風貌や
そのエキセントリックな役柄から
余りにも鮮烈で
暫くは頭から離れなかった

その後 007の眼鏡を掛けた
粋な若造がベン・ウィショーだと
わかった時の私の喜びよう
充血した目で花びらの入った巨大な水槽から僅かな液体を小さなビンに
入れて悦に入っている 狂った彼より
頭が良く少し生意気な現代の若者の
彼がどんなに素敵に見えたことか
カテリーナ

カテリーナ