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レ・ミゼラブルのLATESHOWのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)
3.5
銀の食器を盗んだ彼に忘れてましたよと司祭は蝋燭台も差し出し、俺はクズだと改心するジャン・ヴァルジャン。
自分をレイプし教会内を荒らし回った犯人を許すシスターに、
悪徳刑事のハーヴェイ・カイテルは泣いて突っ伏した。
家族の命を奪ったテロリストを、
許すことで立ち向かった人もいる。
ムッソリーニと共に逆さ吊りにされた愛人のスカートが捲れているのを見て、
非難を浴びながら下着が見えないようにしてあげた人もいる。
誰にでもできることではなく、
また、やろうと意識してやれることではない。
お人好しも行き過ぎると愚かだと言われたら返す言葉もない。
しかし世知辛さの底の底に
これらの行いやふるまいは
確かに在る。
裁かるるジャンヌを彷彿させる、
アン・ハサウェイのエモーショナルな嘆きと
ラストの清らかな表情。
教科書に載っていようが、
誰もがレ・ミゼラブルの登場人物らのように高潔なる行動をとれるわけではない。
ないと分かってまた世知辛さを噛み締めながらも、時々彼等の行いを思い返すような出来事がある。
それらは誠の行いであり、決して滅びはしない。
もう少し鼻息を荒くして言うならば、
ヴィクトル・ユゴーの語る通りに
それらは人間の前進そのものなのだろう。
「地に苦しみは絶えぬが 希望の炎 灯り続ける」

とにかく危なっかしいマリユスがしょうもない金持ちリベラルみたいな将来を迎えてないといいな...笑
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