せーじ

シュガー・ラッシュのせーじのレビュー・感想・評価

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)
4.1
121本目は、続編が劇場公開されたこの作品を、予習も兼ねて。
所々、ツッコミたいところが無くはないけれども、楽しめました。

例によって、手際のいい導入といい、伏線の張り方と回収の仕方のスマートさといい、最後にキッチリと感動させるストーリー構成といい、おおむね隙の無い完成度の高い作品になっていると思う。
その一方で「なりたい自分」と「相応な役割」の間で七転八倒するお話って、いつの時代でも古くはならない普遍的な物語であると感じるし、そのなかで「本当に必要だったもの」を見つけるというのは、とても健全で正しい結論の結び方だと思う。それを、本来は嫌われ役であるはずの主人公に担わせて行動させていくというのが面白いし、きちんと愛着と感情移入ができるようになっているのがいい。
個人的にぐっと来たのは、敵キャラだった主人公ラルフの想いが、プレイヤーキャラであるフィックスに伝わる瞬間。「おたがいさま」だったということをフェアな視点で描いていて、素晴らしいなぁと思った。

ただ、尺の問題か、ちょっと後半ストーリーの流れが駆け足気味になり(例えばヴァネロペがいつの間にか捕まっていたり)序盤ラルフが例のFPSゲームから奪ったメダルの件は?とか、所々ストーリーのディテールが投げっぱなしになってしまっているのが残念。また、現実世界との関係があまり劇中で明示されないのも(例えば修理の時間まであと何分…とか)勿体ないなと感じてしまった。だがそれは、ヴァネロペが可愛いのでまぁいいや!と思ってしまえば許せるくらいのレベルの話だとは思うので、自分はそんなに気にしないことにしますw

この作品で面白かったのは、悪役ゲームキャラたちのグループセラピーの場面。それと「忘れ物箱」をラルフが漁るくだり。「ディズニー映画なのにここまでやっちゃうんだ、すげえなピクサーww」と思うくらいには笑いました。
ちょっと脇が甘いかもしれないですが、普通に、エンターテインメントとして万人にお勧めできる作品だと思います。
せーじ

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