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ザ・マスターのHKのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
3.5
先日観たジョナサン・デミ監督の『メルビンとハワード』が大好きなポール・トーマス・アンダーソン監督がオマージュを捧げた作品だと聞いて鑑賞しましたが、過去に観たこの監督の作品はどれも濃くて重たかったことを思い出しました。
本作のタイトル、ザ・マスター(原題“The Master”)とは新興宗教の教祖のこと。

舞台は大二次大戦直後、実在の某新興宗教団体がモデルとか。
フィリップ・シーモア・ホフマンが教祖を演じ、ホアキン・フェニックスがその狂信的信者、エイミー・アダムスが教祖の妻を演じました。

『ジョーカー』の7年前ですが、ホアキンは本作で既に“ジョーカー”でしたね。
PTSDで痩せこけ、何を考えているかわからない、まるで刃物のようにアブナイ奴。
本作を先に観ていたら『ジョーカー』での強烈な印象は弱まっていた気がします。
その前年の『ゴールデン・リバー』でもかなりイカレたキャラでしたが。

シーモアも上手いんですが、ホアキンのインパクトが強すぎてちょっと損してる印象、と思ったらベネチア映画祭では本作で二人揃って最優秀男優賞を受賞してました。これは失礼。
この人の突然の死は、ロビン・ウィリアムズの死のイメージとも被り本当に惜しい。
ジェシー・プレモンスがシーモアの息子役ですが、劇中でも言われるとおり顔が似ていて違和感なし。

エイミーも『魔法にかけられて』の頃の可憐さはどこへやら『ザ・ファイター』からの『ザ・マスター』で旦那を尻に敷く恐妻イメージが定着。
この後さらにさまざまな役で快進撃を続けることとなります。

PTA監督も本作で銀獅子賞を獲得して世界三大映画祭の監督賞を制覇したとか。
この人の映画を観たのは5本目ですが、それほど好きでもなく、気が向いたら観ようという感じ。

あ、そうそう、終盤の手前でシーモアやホアキンが砂漠でバイクをかっ飛ばすシーンがあるんですが、そこが『メルビンとダグラス』へのオマージュなんだそうです。
『メルビン~』ではジェイソン・ロバーズがバイクをかっ飛ばしてました。
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