たま

ザ・マスターのたまのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
3.5
さすがポール・トーマス・アンダーソン映画という感じ。
そこに曲者ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンが加われば難解さが増す。

第二次世界大戦の帰還兵フレディ。戦争によるPTSDなのか、元来の鬱屈した精神の持ち主なのか、闇酒の製造、異常なほどの性への執着、気が短く暴力的。
ホアキンが演じてきた個性的なキャラクターの中でも、一二を争う異常さ。

そこに新興宗教という特質な世界が加わり、異様な雰囲気の映画になる。
実在の新興宗教がモデルになっているとか、なっていないとか……話題になったよう。

偶然にも新興宗教の世界に足を踏み入れるフレディ。
フィリップ・シーモア・ホフマンが、マスターと呼ばれる教祖をカリスマ性たっぷりに演じるが、勢力を拡大するにつれ、空虚な世界があらわになってくる。そして、マスターは妻のエイミー・アダムスに実権を握られている。

フレディの行動の理解不能な部分も、見ているうちに全ては孤独が支配しているのかと感じてくる。
母からの愛情と温もりを求めているのだろうかと。
砂で創った横たわる女性像に寄り添う姿にそう感じた。
想いを寄せる女性に対しては、純粋無垢なのもなんだか切ない。

そして見終わってみれば、いったい何人のオスカー俳優がいたの?ってくらいの、演技派揃いに驚いた。
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