新潟の映画野郎らりほう

ゼロ・ダーク・サーティの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
4.3
【鬼を討つには悪魔に】


一人の女性分析官を焦点に、CIAの約10年に渡るビンラーディン追跡・暗殺作戦を追ったリコンストラクションドラマ。

世界各地で頻発するテロを防げぬ無力と苛立ち。 莫大な予算に対し求められる結果へのプレッシャー。 拷問に対す世論の反発と、経年によって失われてゆく事の重大性。 ~各事象群は徹底したリサーチの跡が窺え、また 我々が既に知り得た情報の再現と 知られざる部分の解釈・提示具合も絶妙だ。

また本作は 優れたリコンストラクションドラマであると同時に、一人の女性の成長(そして凋落)のドラマとしても見事に屹立を果たしている。

「鬼を討つには悪魔に」 ~ 任務達成の為に全てを捧げ、自己を刷新し、生き甲斐=アイデンティティーと化した作戦が遂に終結した時、彼女を待つのは安堵なのか、それとも絶望なのだろうか?




《劇場観賞》