ペコリンゴ

エンド・オブ・ザ・ワールドのペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.7
記録。
巡り逢い@世界の終わり

あと3週間で世界が滅亡する…。
そんな状況で出会った男女がどんな結末を迎えるかを描いたロードムービー風ロマコメ。『ハスラーズ』のローリーン・スカファリア監督作。

この映画、雰囲気がとても好み。

舞台は小惑星の衝突で滅亡に向かう地球。終焉が確定した世界で生きる人々の日常描写が妙に心地よい。そりゃヒャッハー状態で暴動に参加する輩もいるのだけど、メインの登場人物は基本的に穏やか。変えられない運命を受け入れている、あるいは諦めているんだろう。

主演はスティーヴ・カレル。
彼が演じるドッジは長年連れ添った嫁に逃げられ、世界の終わりなど何処吹く風、淡々と無気力な日常を送る真面目な中年男だ。一方、ひょんな事からドッジと出会い、共に旅に出る奔放かつ天真爛漫な隣人女性ペニーを演じるのはキーラ・ナイトレイ。

どちらかと言うとお堅くて枯れているドッジの渋みに対し、それを中和するかのようなペニーの明るさと美貌はこのコンビのバランス感覚を良い塩梅に保ってると思う。

ドッジは昔の想い人を探すため、ペニーはイギリスの家族に会うべく飛行機を求めて旅に出る。要するに最後を過ごす相手を求める旅路だ。

そこに終わりを目前にした焦燥感や悲壮感は無い。ただゆったりとした時間が流れ、ラストも不思議と悲しくない。終焉とは案外こんなもんなのかもしれない。

もし世界が終わるなら…。
うん、本作のような結末ならそんなに悪くない。