ちょこばなな

アンナ・カレーニナのちょこばななのレビュー・感想・評価

アンナ・カレーニナ(2012年製作の映画)
2.5
演出が本当に素晴らしい。特に舞踏会などのストップモーションのシーン。
繋ぎも綺麗で舞台をさらにドラマティックに描いているようで見応えがあった。
徐々に徐々に無意識にヴロンスキーに惹かれていくアンナの心象がよく撮れている。

ストーリーについては、気品と色気に溢れたキーラ・ナイトレイが自己中かつ不貞をはたらく様があまりにもハマっていて、腹が立ち、初めは無性にイライラした。
アーロン・ジョンソンもソワソワするほどハマり役。

自己愛の塊でひたすら愛を求め、孤独から逃れようとしたのにさらに孤独になってしまったアンナと愛するより愛されることを選んだキティの対比がかなり分かりづらい。
子どもを1人にしてまで愛をとり、そこまでの覚悟を決めたにも関わらず、社交界で晒し者になるくらいの我慢も出来ない情けない女、正直共感は出来ない。
不信が始まるとき、不幸が始まるのか。
カレーニンは彼女を愛し、ヴロンスキーは彼女に恋しているように見えた。

原作にはあったであろうヴロンスキーのアンナの死後の反応や行動が描かれていなかったのは残念。
映画だけで彼女の心情を推し量るのは難しいし惜しい。
彼女が求めた愛とは?
アンナにかなりイライラする作品だったが、反面彼女のことを理解したいと思わせる作品でもあった。