Kaoru

偽りなき者のKaoruのレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
4.6
デンマークの作品は大好き。真面目で地味な作品が多いのだけれども、ものすんごく人について考えさせてくれると思うから。鑑賞後に欲求不満でも、考えるうちにだんだん空腹が満たされていく感じで不思議だ。

ところがこの作品は舐めてるととんでもない想いをする。想像するよりはるかに苦しい作品だった。どうしたらここまで1人の善良な人間の人生をめちゃくちゃにすることができるんだろぅ…。

監督ならば誰だって、想いを入れて描いた主人公を簡単には突き放さないはず。だからある程度の苦難があっても必ず最後には報いを与えてやるのが人間味のある監督なのだと思う。ところがそんなことばかりしていると、綺麗な話ばかりが増えてしまい見栄えもない普通なものしか生まれないワケで、この監督がとった「徹底的に主人公を貶める」やり方はある意味本当の人間の姿というか、容赦もオブラートもないところに恐ろしく現実味があった。

一つ思うのは、この監督は相当なサディストに違いないっっ(勝手に確信w)

平たく言えば、子供の嘘で幼稚園勤務の主人公がペドファイル(幼児性愛者)扱いを受け、村じゅうの大人たちからとんでもない扱いを受ける、という話。

嘘をついた子供は当然悪くない。子供ならよくある話だもの。卑猥なポルノを見せたお兄ちゃんだって悪くない。思春期の子にあとあとこんな事が起こる予想なんてできなくて当然だもの。

もちろん、園長先生は確かにおかしい。でもね、全体的にヒステリーなあぁいぅ中年女性って少なくない。どの国だっておかしぃ人はいるのょ。

人伝いに聞いた不確かな情報だけで1人の人間をあれだけ貶めた周りの大人たちが一番タチが悪いわ。集団になると間違ったことも平気でできてしまうから怖い。親友までが奥さんや娘の手前、真実が歪んで見えてしまうんだから。

何にもコントロールされずに自分の目で判断できる人になるといぅのはとってもむつかしいことかもしれなぃけれど、目指していかないといけなぃなぁと思ったわ。
Kaoru

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