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地獄でなぜ悪いのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)
4.8
『     情熱
 ~映画へのEBULLIENCE~』

いやぁ、驚きました!なんて情熱溢れる映画なのでしょうか!それもただの情熱なんかじゃない。溢れる情熱は、まさしく映画に向けられたものです。

製作段階で“やくざが映画を撮る事になる”というプロットを知った時から「これは観たい!」と思っていたのですが、もっと早く観ておけば良かった(>_
抗争を映画に、というあらすじを知るにあたり、当然楽しみなのはクライマックスでした。しかしながら、主人公多発ともとれるこの展開は、始まりから終いまでテンションが落ちる事はなく、とにかく飽きさせません!某スパイ映画“風”の曲から始まったと思いきや、タイトルロゴではあのヤクザ映画の曲がまんまかかっちゃう♪そこからの物語は、キャスト陣全員が120%のパワーで臨んだかのような熱量が感じられる展開。その熱量をあえて腰砕けにする「全力歯ぎしりレッツゴー♪♪♪」という“唄”は、鑑賞後頭から離れなくなる事必至です!

クライマックスでは『悲しき願い』“風”の曲と、『ロンリー・シェパード』“風”の曲が流れ、このクライマックスが『キル·ビルVol.1』の青葉屋の死闘を意識している事を良い意味で“安直”に匂わせてくれます。でも、偽の音楽でありながらこんなにカッコいいんだから、罪な人だわ子温さん゚+.゚(´▽`人)゚+.゚殺陣の魅せ方は当然“あちら”に叶わないものの、それがただの討ち合いでなく映画の撮影を兼ねているというのが本作のミソ。面白すぎて夜ひとりで観ながら、声を出して笑ってもうた( ´∀`)特に堤真一は最高すぎる!もうツボになってしまって、彼が出る度に笑ってしまう状態に陥ってしまいました(笑)

國村さんは『アウトレイジ』の情けない感じではなく、まさに『キル·ビル』の時のあの感じ。星野源が製作費を聞かれるくだりの國村さんは、『アメリカン·ハッスル』のデ·ニーロに負けず劣らず怖かったΣ(;゚∀゚)ノその星野源は、スーパー巻き込まれ野郎に扮してます。愛の力は強し!二階堂ふみはその衣装もあいまってカッコよかった(’-’*)ぐるナイのあの娘と同じ人とは思えまへん。

長谷川博巳の役は、映画バカ過ぎて一見狂ってるようにしか見えないのですが、その映画バカぶりが思わぬ形で遺憾なく発揮されていく展開は最高でした(*´∇`)ノこの役は、まだ監督デビューする前の監督自身を投影した役どころらしいのですが、「とにかくオレは傑作を撮りたいんだ!」という情熱がとにかく溢れんばかりでスゴい!


高3の秋、生徒会長の立場で職権乱用とばかりに「オレは学園祭で自分で撮った映画を上映するんだ!」と息巻き、友達数人と真似事レベルではありますが映画を撮りました。
タイトルは『未踏のナンセンス』。
自分が面白いと思った事を校内中心に行い、そしてそれを撮った、タイトル通りのそれはそれはナンセンスな作品です。ただそんな作品でも、自分なりに情熱とこだわりは溢れんばかりにあったので、結局編集は学園祭当日朝にまで及び、完了したのは何と学園祭が始まる15分前でした!

内容はというと、少林寺拳法の有段者である英語の先生と戦ったり、ちょっと天然入った社会の先生をドッキリにハメたりと先生方を巻き込んでやりたい放題(^∀^;)でもそんな作品でも、本編の最後には見せ物として少しでも見応えのある内容のものを入れたかったんです。

現代国語の若い女の先生。ちょくちょく「元ヤン!」と生徒にイジられてました。そうだ!これを利用しない手はないΨ(`∀´)Ψと、考えついたのが…

その先生に出演のお願いをして、フェイク盗撮ものを撮る事に!ちなみに、盗撮ものと言ってもイヤらしい内容ではありません。設定としては➡その先生が本当に元ヤンなのか、この映画で迫ろうとしていたボクたち。でもそれがバレて、放課後その先生から呼び出されてしまいます。説教される中、その様子を物陰からこっそり撮影していたら…というもの。

「あなた達のせいで私のイメージが汚される」「私は清純な路線で行きたいんだ」と、竹刀を持って説教する先生。しかし、それをこっそり撮影していたのがバレてしまい、「おいっ!それ撮るの止めろ!」と先生が怒りだしますw(゜o゜)w驚き、地面に落下するカメラ。そのカメラが映し出したのは、逃げる生徒とそれを追う先生なのでした。

この場面、イメージしたのは戦場のカメラ。カメラマンが撃たれ、横たわったカメラが映し出す映像。逃げる場面は、ちょっと『悪魔のいけにえ』からもインスパイア受けてます(^_^)これを撮って何より嬉しかったのは、この本編最後のくだりがスゴくうけた事!好評に付き、後日授業でアンコール上映されたのもうれしかったですが、何より思ったのは“観てくれる人”を意識して撮るという事は、とても大事な事なんだなぁという事でした(‘∀‘ )

だから、この『地獄でなぜ悪い』は、園監督の溢れる情熱から生まれた映画でありながら、それがしっかりエンタメしてるという点で、本当に素晴らしいなと思わされたわけです( ・∇・)
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