きょう

そして父になるのきょうのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
3.7
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた福山雅治演じる良多。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。


出産してからすぐに実の我が子と他の家庭のお子さんと取り違えられてしまったら…💦
取り違えられてから、2組の家族は真実を知ることなく6年間、「その子」を我が子として育ててきました。
福山雅治演じる良多は、エリートで家庭も仕事も完璧と自負する、どこか冷たさも漂わせる男。息子のけいたもそんな父に対して、好きなのだけど、壁があるようにも感じている様子でした。子供ながらに「父が望む良い子」でいなければと無理をしているようにも感じました。
しかし、良多は我が子とリリーフランキー演じる雄大の子供が入れ替えられていることがわかってから、自分の子供への向き合い方だったり、人間性だったり、父親としての未熟さをあからさまに感じさせられているようでした。今までは何でも完璧にこなしてきた分、常に自分本位に生きてきた分、自分に足りていない部分を認めることに苛立ちを感じ、もがいている姿も印象的でした。
子供が入れ替えられてしまったことは、本当に許せない悲しい出来事ですが、良多が「本当の父」になるためには必要な乗り越えなければならない壁だったのかもしれません。
ラストは子供にとって一番大切なことに気づいたよう。その先は血の繋がりか今まで築き上げた絆を選ぶかは、こちらが考えさせられる結びでした。


1人の父が一つの出来事がきっかけで、本当の父になる。その出来事について、こちらで書きますが、真実を知ったからと、大人の都合で大切な我が子を知らない人の家庭で生活させ、その家庭の人を「お父さん、お母さん」と呼ばせるようにするなんて、あり得ないことだと思うし、自分がその立場だったらできないし、自分が子供の立場だったら拒否してしまうでしょう。
血の繋がりは大切なことかもしれませんが、その家庭で親子として築き上げてきた時間や絆はそこよりももっと大切。
いっそのこと真実なんか知らないでそのまま進んでいけば良いのにというのが自分の率直な思いです。しかし、真実を知ってしまったなら、それぞれの我が子には2人の父母がいて、4人で2人を育てていくのがいい方法にも思いました。
福山雅治さんも尾野真千子さんもリリーフランキーさんも真木よう子さんもそれぞれ役にハマっていました。
特に福山さんは難しい役をリアル感たっぷりに完璧に演じていました。
家族にとって本当に大切なことを考えさせられる素晴らしい作品でした👍
きょう

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