Kaoru

チャイルドコール 呼声のKaoruのレビュー・感想・評価

チャイルドコール 呼声(2011年製作の映画)
3.6
クロユリ団地、でしたっけ?あの映画はひょっとしてこの作品の影響を受けていたりするんじゃないかしら?クロユリ〜は観ていなぃので全然違うかもしれなぃけれど。(観てないクセに言うなw)

北欧の作品ってのはとても湿度の高いものが多い気がするの。ぼーっと観ていると濃い悲壮感に飲まれてしまう感じ。真面目な優秀作の多いイメージ。

とんでもなく辛く悲しいお話です。心が、精神が、常に常にゆらゆらしているママン。観ているだけでとてつもなく不安になってしまいます。これがハリウッドならば"迫真の演技!"となるのでしょうが、迫るというより気付いたら飲み込まれちゃってる感じ。実際心のブラックホールに入っちゃってる人は観ている人をも不安にさせるオーラを静かに放つものだと思う。演技が演技になっていない(あ、いい意味でね)ホントにこの人はこんな人なんじゃないかしらと思うくらい恐ろしくリアルな演じ方でした。

いっぱい布石があって、サスペンス的に、またはちょっとオカルト的にも描かれていて、そのヒントやら布石やらってのは見事に最後には回収…されないwww
だけれども、回収することが目的の作品ではなぃんです。この際どうでもいい。そのくらい、人間の中には他人の物差しで測れないコトなんて山ほどあって、そもそもがいろんな矛盾が混在している生き物だとも思うから。
たったひとつ貫く信念は息子に対しての愛情。
壊れそうに弱ってるママン。自分の実力以上の力をもうこれ以上出せないってくらい全力で出し切って息子を必死に守ろうとする。この姿だけでも愛情の深さは伝わるわ。痛いほどにね。

新しくお友達になったゆるゆるパンチパーマのおっちゃんだけが、ママンにとって頼りで。(観ているこちら側もおっちゃんを頼りにするはずw)けれど、おっちゃんはおっちゃんで脳死状態の母親がいる。

死んだように生きているおっちゃんの母親。そして、生きているように死んだ人を想うママンの対比。…おっと、書きすぎた。ネタバレになるのでこれ以上書きませんが、ホラーではないです。サスペンス的ではあるけれど、それも違う。息子を愛する病んだママンの愛の物語だと思うわ。
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