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ブリーダーのHKのレビュー・感想・評価

ブリーダー(1999年製作の映画)
3.3
アマプラでみつけて、尺が手頃だったのでフラリと鑑賞。
“ブリーダー”ってペットとか動物関係の話かと思ったら、デンマーク語で“嫌な奴”の意味なんだそうです。綴りも違うんですね。
こういうときこそ邦題のつけ方をもう少しがんばってよと思います。

ということで、本作はデンマーク映画です。
デンマーク出身のマッツ・ミケルセンも出ています。
監督は後にR・ゴズリング主演の『ドライヴ』を撮ったニコラス・ウィンディング・レフン。この名前は覚える自身ありません。
他にも聞いたことのある作品を撮ってますが、どれも観たことないのでこの監督今回初めて。

オープニングのそれぞれ違うBGMで主人公たちが紹介されるシーンはポップだし、その後のレンタルビデオ屋のシーンを観ても仲良しグループのユル~イ日常を描いたまったり系の映画かな~と思ったら、まさかの重くて痛い展開に・・・なるほど、嫌な奴・・・

私の初マッツは『カジノ・ロワイヤル』公開時ですから、それ以前の出演作を観るのは初。
近年のイケオジ・キャラが定着したマッツと比較すると、当時(33歳)は失礼ながらかなり貧相な印象。演じるレンタル屋の店員が挙動不審なのは役作りとしても、なんか見た目が爬虫類っぽいし骸骨っぽいし、スティーブ・ブシェミっぽい感じも。

でも、たぶん監督自身を投影していると思わせるこの映画オタクの店員、コミュ障で女の子との話題も映画しかないこの冴えないキャラがだんだん憎めなくなってきます。
店の客におススメを聞かれて巨匠からB級監督まで延々と棚の場所を列挙したあげく、ポルノはないか?と聞かれる展開、監督の体験談のような気もします。

昔、同じ大学の映研にいた友人が、映画の話ができる仲間が近くにいるだけで自分には夢の環境だとよく言っており、当時の私は大袈裟なことを言う奴だと思っていました。
でも就職して30年以上も映画の話ができる相手が近くにいない今、そのときの彼の気持ちがよくわかります。
この映画を観て、まだ若くして癌で亡くなったその友人のことを思い出しました。
だから近年filmaに出会って、当時は気づかなかった夢の環境に少し戻れた気がしています。
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