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エリジウムのAirconのネタバレレビュー・内容・結末

エリジウム(2013年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

ツッコミどころ50個くらいあった。
すべての因果が「バカがバカだからバカだった」みたいな構造に吸収されてしまう。
「なんでそういうことをしないのか」とか「なんでそういうことをしちゃうのか」とか。
全員小3くらいの知能でやってる。


最初に、超富裕層という単語が出てきて、すでにその対立の話っぽくて、安易な論点を予感させて不安になった。
結果的に予想を下回ってきたけど、最後まで観ると、そもそもの状況として、

医療リソースは全人類分十分にあり、医療用シャトルまで作ってあるのに超富裕層がそれらを牛耳っていて、医療を求めて地球から飛んでくる難民もいるが入国を止める手段はミサイルでの無慈悲な迎撃しか無く、着地さえできればワンチャンダッシュで医療ポッドを使えるような、釣りみたいな状態にしてあり、

地球では人口爆発のあらゆる供給不足とロボットによる管理社会のディストピア状態ではあるが、謎にスラムにハイテク技術があり、エリジウムにもシャトルを飛ばしてくれるし、DNAや神経とか集積回路とか、使うことも作ることも勉強すら簡単にはできないような医療技術で改造人間も作れる(車とか武器とか改造するノリで)、

さらに主人公の勤め先がエリジウムを作った会社で、社長がしょっちゅう駐在員みたいに来てて、社長のパソコンでエリジウムを再起動すればトップをすげ替えられるシステムで、脳の情報抜く技術があることはおそらく知っているのに、こんな地球にいる警備も薄い人間に権限が集中しすぎていたり(防衛長官に頼まれてあっさりクーをOKしてしまうような人なのに)、、、


まず、レジスタンスが反抗できるくらいの技術があるなら、エリジウムはわざわざ反発を招くメリットがない。
というか、みんなにもそれなりに良い暮らしをさせてあげるメリットがある。
明らかに供給不足の現状を搾取によって作り出す必要がない。
超富裕層の良い暮らしのための搾取だとしても、難民のシャトルがしょっちゅう侵入を試みてくるような状態が良い暮らしにはならない(もうこれは”搾取”が目的に見える、搾取のための我慢)。

国家としてのツッコミどころが多すぎてもうあげないけど、「普通、手榴弾持ったならず者傭兵を国家の中枢に入れてあげるか?」とか、「何の警備もなくそいつらに近づいたら危険かもしれないと、責任ある立場の人間が何故想像できないのか?」、とか国家のシステムもセキュリティもほんと脆弱すぎる。
エリジウムほんとザル。

ラスボスも、みんながバカだからここまでこれた感のあるバイキンマンみたいなやつ。
レベルが低すぎる。
他にもっとまともな工作員がいないのなら、どちらにせよもうおしまいだよ。

フレイとの関係は独特だった。
なぜ愛を誓い合った相手に娘がいる設定にしたんだろう?
シングルマザーとその娘に奉仕する男性像になったわけだけど。
「カバの利益はある、これはWIN-WINである」と言われても、やっぱり男性性の価値は使い捨てできることにあると、女性や子供を守ってなんぼの命だと言っていることにならないのかな。
女性に都合良くリベラルなことを言おうとして、男性には超保守的な規範だったような。


マットデイモン、苦痛に表情が歪みがち。
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