馮美梅

日本の悲劇の馮美梅のレビュー・感想・評価

日本の悲劇(2013年製作の映画)
3.0
物語はほぼ父と子が暮らす家だけ。登場事物も父と子、そして死んだ母と、妻と子の5人。

父は末期の癌、そして息子はうつ病で妻と離婚し、仕事もしてないニート。
父は余命半年と言われ、治療を拒否し、退院・帰宅後自室に立て籠ってしまう。
戸惑う息子。父は飲まず食わず、死を待つ。それもこれも、自分が死んでも年金で息子が今のように生活をさせるために。

終始モノクロで物語が進む中で、唯一、カラー映像のシーンがある。
それはまだ息子がうつ病を発症する前、母も生きてて、妻と生まれた我が子、家族みんなが笑顔で幸せだった時。しかし、別れた妻子も東日本大震災で亡くしてしまう。

なんとか、今の生活から抜け出そうと思う息子だが、なかなか世の中、思うようには進まない。そんな中での父の立て籠り。毎日父が生きてるか確認する息子だが、いつしか父の声も聞こえなくなり、生きているのか死んでいるのかもわからなくなった。それでも息子はそんな中で生活、仕事を探しに行くのだった。

仲代達也と北村一輝2人芝居。淡々と物語は進む。
実際、こういう悲劇は今の日本で多かれ少なかれ起きているんだろうな。
子供が自立できず、親の年金におんぶにだっこみたいな…
幸せな時間があっただけに余計、哀れを誘った。
馮美梅

馮美梅