日本の悲劇の作品情報・感想・評価

日本の悲劇2013年製作の映画)

上映日:2013年08月31日

製作国:

上映時間:101分

3.4

「日本の悲劇」に投稿された感想・評価

ヒルコ

ヒルコの感想・評価

3.0
基本的にカメラ固定の長回しによる撮影。特に食卓は座ったときにジャスピンする高さでカメラ固定されてたのが、内容を考えると悲しい。長回しと言うことで、仲代達矢も北村一輝もビリビリするような演技や存在感を見せてくれる。母親の予期せぬ病死、父親が後を追うように発症する、息子のリストラと鬱病による自殺未遂に、親の年金で暮らす様、離婚に失踪などどう考えても悲劇な状況なのだけれど、これを「日本の悲劇」とつけた監督の信念のようなものをビンビンに感じます。
Hiros

Hirosの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

リアルで怖く、いろいろ考えさせられる映画。
モノクロとカラーの使い分け方が切ない。
北村一輝の演技が素晴らしかったと思う反面、初めて北村一輝がピース綾部に似ていると感じた。
テーマも興味深く、北村一輝の熱演、仲代達矢もさすが✨
けど
私にはあまり響かなかった

1度だけカラーになるシーンが印象的

舞台劇で、しかも仲代達矢の表情のアップの演技を観られたような

ラストに出た文章はとても心に残った
こやち

こやちの感想・評価

4.0
小林監督っぽい言い回しが少し気にかかる。長回し長ゼリフはすごい。あの後息子はどうなるんだろう。
馮美梅

馮美梅の感想・評価

3.0
物語はほぼ父と子が暮らす家だけ。登場事物も父と子、そして死んだ母と、妻と子の5人。

父は末期の癌、そして息子はうつ病で妻と離婚し、仕事もしてないニート。
父は余命半年と言われ、治療を拒否し、退院・帰宅後自室に立て籠ってしまう。
戸惑う息子。父は飲まず食わず、死を待つ。それもこれも、自分が死んでも年金で息子が今のように生活をさせるために。

終始モノクロで物語が進む中で、唯一、カラー映像のシーンがある。
それはまだ息子がうつ病を発症する前、母も生きてて、妻と生まれた我が子、家族みんなが笑顔で幸せだった時。しかし、別れた妻子も東日本大震災で亡くしてしまう。

なんとか、今の生活から抜け出そうと思う息子だが、なかなか世の中、思うようには進まない。そんな中での父の立て籠り。毎日父が生きてるか確認する息子だが、いつしか父の声も聞こえなくなり、生きているのか死んでいるのかもわからなくなった。それでも息子はそんな中で生活、仕事を探しに行くのだった。

仲代達也と北村一輝2人芝居。淡々と物語は進む。
実際、こういう悲劇は今の日本で多かれ少なかれ起きているんだろうな。
子供が自立できず、親の年金におんぶにだっこみたいな…
幸せな時間があっただけに余計、哀れを誘った。

このレビューはネタバレを含みます

 シネマスコープ、モノクロの映像の中、出てくる場所は台所と父親の部屋と廊下という限られた空間。

 余命いくばくもない父親が退院してくるところから始まります。冒頭15分ほどだったと思いますが、ノーカットで主人公の仲代達矢さんは顔見えないという後ろ姿だけ。
 そして翌日から父親は自分の部屋にこもる。「オレはミイラになる」と宣言して、一体どうしてこのような行動をとるのか回想していきます。
 
 そこで描かれるのは、息子のリストラ、うつ病、自殺未遂、それに耐えられなくなったお嫁さんとの離婚、そしてやっと復活したかと思いきや母親が倒れてその介護で4年。母が死んだと思ったら震災。そして父親の病気。
 とこれでもかと不幸が襲ってきます。そして、自分の年金だけで生きている息子。彼を思って自死を選び年金を不正受給させても息させようとする父の子どもに対する気持ち。
 
 そして最後にパートカラーとして描かれる幸せだったころの家族の風景。それはまるでアルバムのような記憶。カラフルで幸せだった日々からしだいに色が失われ、薄暗くなっていく映像。
 カメラもフィックスで役者さんが画面から消えてもそのまま。音が印象的に使われていて背後にまわったりしているのを想像しながら見る映画。
 
 けどこのような家族は一部なのだろうか? と。これから高齢化社会を迎え、結婚しない人間が増えていき認知症の数も増えていく。自殺者も3万人を超えている。
 日本の悲劇は始まっているのか、それともこんなバカげた話の映画があったと思う未来がくるのか考えてしまう映画でした。
電気羊

電気羊の感想・評価

3.0
実話を元に現代社会の問題を赤裸々に描写した問題作。大病を患った老父は、治療を拒否し自室に釘を打ち立てこもり断食による自死を始める。生活能力のない糞ニートの息子に自分の死後も年金を不正受給させるために。まあ切実だわな。しかし、糞ニートは言い訳だけは何であんなに達者なんだろうな。
開始早々、この見せ方で見せるという方法がまた酷くて凄い(※褒め言葉!)
定点のままで、あくまで「人物の誰かに移入」ではなく
「無理矢理に客観させられる」感じ
しかも「映像で見せる」ではなく、
あくまで「耳に入ってくる普通の環境音」で想像させる凄さ
正直表情なんて見えないし分からない
あくまで音も台詞もなにもかも「音」と「声」のみで聴いて、
まさに「空気を読んでいく?察していく感」が凄くて
それこそ紙芝居のボイスドラマを聞いている雰囲気
父親の心情はいかばかりか、想像するしか出来ない
完全な視聴者任せな見せ方は良い意味で凄い
でもって100分ある上映時間のうち、
開始5分からずっとノンストップで涙が止まらない
何気ない「酒」が繋げていく、「酒」に込めた意味だとか
「カレンダー」の見せ方や意味だとか
ちょっとした芝居の表現だとか・・・
始終モノクロだったのに、とあるシーンでのみカラーだとか
とにかく泣きすぎてもう酷い・・・
「ホントらしいウソ」か「ウソらしいホント」か 小林政広「日本の悲劇」

映画を語る時は能うかぎり相手をその作品に誘発したい欲にかられるものです。

その作品の基準としてあるのが「コチラ側」と「アチラ側」。もうひとつ突っ込めば「ホントらしいウソ」と「ウソらしいホント」です。

映画を語る上で楽しいのは当然「コチラ側」にある「ホントらしいウソ」の映画です。

いくらバイオレンスや人が死ぬ場面があろうと最終的には「ウソ」にしてくれる。それが映画ってモンです。

ところが長い間映画を観続けてれば時々「アチラ側」の「ウソらしいホントの映画」にぶち当たります。しかも結構有能な映画作家による作品で。


はしたないのを承知で列挙しますと

熊井啓の殆どの作品。
チャンイーモウの殆どの作品。
小栗康平の殆どの作品。
高畑勲の「火垂るの墓」「おもいでぽろぽろ」
ラース・フォン・トリアーの「ダンサーインザダーク」
是枝裕和の「誰も知らない」等など
河瀨直美や園子温らの作品の数々も加えてもいいでしょう。

ところでこの小林政広作品。後に「バッシング」という佳品も観ましたがこの作品についてはまた別の機会に

「日本の悲劇」過去に亀井文夫、木下恵介の作品に同名タイトルがありますが全く無関係。

映画としては演劇的俯瞰がかなり目障りですが上質です。

原作クレジットはなく監督自身によるオリジナル脚本のようですがサトウトシキ監督の一連の傑作ピンク映画の脚本を手掛けただけにドラマの骨格はしっかりしてますし、ほとんど音楽を使用せず、ともすれば冗長になりがちな定点カメラの長回しも静謐な画に迫力があり退屈しません。

何といっても登場人物が仲代達也、北村一輝、寺島しのぶ、大森暁美4人だけの演技合戦が見もの。


でもどんな才能溢れた作品でも「ホント」に近づき始めた瞬間から映画は映画でなくなります。


「無慈悲にも亡くなった方々に捧ぐ」とエンドタイトルに出た時に確信しました。本当に危険な映画です。


とは言え、上記に挙げた監督たちとは全く違う肌触りを感じさせてくれる小林監督が新作を発表すれば多分観るでしょうがこれとは全く反対の作品を期待したいものです。
Yuya

Yuyaの感想・評価

3.0
なんとも先行き不安にさせられるような…
不遇や悲劇をギュギュッと凝縮してみせてるだけで どれも決して他人事ではないから 明日は我が身って危機感を覚えてしまうんだろうなぁ

鬱も引きこもりも 家族としての介入も拒絶も どれも自己防衛というか 置かれた現状に対する ひとつの対抗措置のように思えるし 仲代達矢の回想によって紐解かれる起因の数々と 過ぎ去りし幸福の日々の陰影の深さが そのまんま現代社会の問題の深さなんだろうなぁ

支持したアイドルの結婚宣言に詐欺だと騒ぎ立てられる能天気さが 羨ましくもあり哀しくもなる今日この頃…
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