horahuki

夕暮れにベルが鳴るのhorahukiのレビュー・感想・評価

夕暮れにベルが鳴る(1979年製作の映画)
3.7
友達になりたい!

『暗闇にベルが鳴る』『ハロウィン』というスラッシャー界のレジェンドを掛け合わせたスラッシャー。シッターしてる時に電話かけてきたキモいおっさんから逃げ切って安心してたら、七年後に精神病院から抜け出したそいつが再び迫ってくる地獄のようなお話。しかも精神病院の担当者は、「完治してるしウチに責任ないよ」的なこと言ってるというダメだこりゃ感…😱

来月に『暗闇にベルが鳴る』の2度目のリメイク?リブート?な『ブラッククリスマス』がDVDスルーで日本に入ってくるので関連作を予習中。『暗闇…』で2本、『夕暮れ…』で4本と結構多いから、元になってる都市伝説って相当親しまれてるんやろね😅

犯人を最後まで謎のベールで覆い、その内面や抱える闇を犯行方法・手段という外形的行為によって浮かび上がらせた『暗闇…』とは異なり、脱走した犯人をカメラが追い続けることで直接的に内面をさらけ出していき、多少の共感を抱かせるような展開を見せるのが『暗闇…』との大きな違い。

そのため、シッターの仕事中にかかってくる変態電話が実は家の中の別の電話からかけられていたという「殺人鬼が同じ家の中にいる」的な本作と『暗闇…』が下敷きにしている都市伝説設定はプロローグ部分で消化しちゃう。電話相手の可能性として自ら二択を用意しつつも、それらを裏切っていくことによる振り幅の上昇、時計の振り子と無音によるスリル、外に対する防壁が自分に対して役割をもってしまう逆転等々、プロローグの演出が凄い。その後は冗長なのだけど、プロローグを反復するクライマックスも良かった。

『暗闇にベルが鳴る』はスラッシャーの始祖的扱いをされているけれど、カナダ産ジャーロでもある。もちろん『ハロウィン』にもジャーロの影響が色濃く反映されているわけで、その2つの流れに組み込まれるだろう本作にもジャーロの雰囲気が漂っていて大好物。というか『暗闇にベルが鳴る』→『ハロウィン』→本作の流れは王道に近いジャーロから少しずつ逸脱していっている?方向性を違えて行ってる?ことが感じ取れて凄く面白かった。

本作は、前半はジャーロ的でありながらも中盤以降は精神分析的ジャーロの深度が浅くなり、最終的には内面的にドライでライトな帰結を見せる。内面を抉るようにメスを入れるジャンルでも、個人的にはジャーロはウェットでディープ、スラッシャーはドライでライトなイメージ。80年代の王道的スラッシャーにもジャーロを強く感じるものがそれなりにあるし、この時代特有のジャンル過渡期的な印象があって、その点でも面白かった!そんでやっぱり「友達になってほしい」とかいうやつにロクなやついないわ🤣
horahuki

horahuki