あなぐらむ

少女娼婦 けものみちのあなぐらむのレビュー・感想・評価

少女娼婦 けものみち(1980年製作の映画)
3.3
神代辰巳の映画は海辺が似合う。
母の血かそれとも生来のものか、男を囚えて放さない少女が、ダンプ運転手と少年の間で揺れ動く。
孕んだ子を産むかどうか、それは愛の証なのか。岸田理生のホンは観念的だが、感性の人・神代にはよく合う。姫田真佐久カメラがまたしても魔術のような画を見せてくれる。

主演の吉村彩子が初めてのロマンポルノとは思えない存在感。ダンプの運ちゃんの内田裕也がハマり役。本作を観て、いまおかしんじ「たまもの」はやはり神代の子供だと確信した。ラスト、屋台を引く少女が切なくも逞しい。三谷昇はなんだったのか。因みに自分は、水島美奈子は苦手である。

岸田理生は金子修介「1999年の夏休み」も書いている。テレビでは黒沢直輔「シンデレラの仮面」があったりと日活組の仕事が多い。実相寺昭雄「青い沼の女」も秀逸。

本作はいささかセルフリメイク感があり、絶頂期のクマさんが探し求めていたような「何か」が足りないとは思う。