Growltiger

フリークス(怪物團/神の子ら)のGrowltigerのレビュー・感想・評価

3.9
サーカスで働く小人症のハンスが恋した美女クレオパトラ。しかし彼女の目当てはハンスの遺産だった。クレオパトラの目的がバレた時、フリークスの復讐が始まる。
※フリークス(Freaks)=怪物達


1932年公開のCGでも特殊メイクでもない(ラストのはメイクだろうけど)、当時実際に見世物小屋で働いていた方達が出演した作品。
その衝撃さや不謹慎さから上映禁止になったり、監督が干されたりした問題作。

意見は様々だと思いますが、当時のあちこちの見世物小屋で人気だった見世物小屋芸人が大集結した作品でもあり、貴重な作品とも思います。
私はわりと肯定的に本作を受け止めました。

いわゆる身体障害者を「怪物」と表現している点や、端役で沢山の身体障害者が出てくるのでこの映画自体が“見世物小屋”のような部分もあって確かに批判されるのも分かる作品なのだけれど、当時の見世物小屋芸人さん達の活き活きとした姿を見られるのは楽しかった(←言葉不適切?)。

逆に邦題に《神の子ら》なんて副題付けてる方が別の差別意識な気もするんですよね。まぁそれを話すと長くなるので割愛します。

さてテーマとしては「外見と心、どちらが醜いのが怪物か」みたいな分かりやすいストーリー。
でもフリークスは心は優しいと思っていたけど最後はそれで良いのか?
雨の中ジワジワと近づくフリークスはホラーのようで、少しテーマとも矛盾するような。
ブラックジョークとして笑うか、やはり差別的だと怒るか、皆さんはどちらでしたかね?
私はブラックジョークと受け止めましたが...。

物語の本筋よりも、ほぼストーリーにはあまり関係無い端役の方々に目がいってしまう本作。
口だけでタバコに火をつけたり、足でグラスを持っていたり、何気ないシーンで見せる技に見入ってしまいました。

ハーフボーイ(下半身欠損)のジョニー(ジョニー・エック)とか、脚が無い人はちょいちょい見るけどあんな綺麗に下半身が無くて、しかも腕ですいすい歩いてる姿は感心します(←言葉不適切?)

あと結合双生児の美人姉妹(ヒルトン姉妹)がそれぞれ別の夫と結婚して相手の夫に「今度うちにも遊びに来て」とか言うジョークは中々ユニークでした。

本当に子供のような外見のハンス(ハリー・アールス)は公開当時30歳!凄いなぁ....。フリーダ役のデイジー・アールスとは兄妹だそうで、「ドール・ファミリー」として4人兄弟姉妹のグループで活躍されていたらしい。

1時間程度の短い作品ながら、映像は濃かったです。