Growltiger

17歳の瞳に映る世界のGrowltigerのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.4
17歳のオータムはある日、自分の妊娠を知る。中絶するにも自身の住む州では親の同意が無いと中絶手術が出来ないため、従姉妹のスカイラーと共に、親の同意の必要がないニューヨークへ向かう。


出てくる男が嫌な奴、気持ち悪い奴らばっかり。
これが17歳のオータムから見た世界だとしたら、あまりにも残酷。
同じ男としてはなんだか申し訳なくなってくる。
当初、自分で中絶する方法をネットで調べ、腹を何度も叩くシーンは観ていて辛かったです。

中絶に対する考えは人それぞれだけれど、望まない妊娠というのがどれだけその女性を追い詰めるのか。
「中絶の残酷さ」を教えるなら「中絶できない残酷さ」も同時に勉強しないとフェアじゃない気がします。
そういう意味でも、この映画は一度目にして頂きたい。

原題は「Never Rarely Sometimes Always」
“Never=一度もない”
“Rarely=滅多にない”
“Sometimes=時々ある”
“Always=いつも”
というカウンセラーからの質問に対する4つの選択肢を意味していて、作中のこのシーンは胸が痛みました。


2021年9月2日のニュースで、アメリカのテキサス州で人工妊娠中絶が(性的暴行による妊娠であっても)ほぼ全面禁止になったという記事を目にして、数日前に見たこの映画を思い出しました。

認めないとして、その妊娠した女性は望まない子をお腹に抱え続け、自分の命を懸けて産み、産まれた子は「望まれなかった子」としてどこかで生きていく。
それで良いんでしょうか....。

因みに日本で現在(2021/9)人工妊娠中絶手術が受けられるのは妊娠22週未満(21週6日)まで。
未成年の場合は、原則親の同意が望ましいとされていますが、法律で絶対必要とはされていないそうです。