馬井太郎

ゼロ・グラビティの馬井太郎のレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
3.9
カプセルは真っ赤に燃えながらも、間一髪地球に生還・着水する。
やがて、自らの力で這い出て立ちあがるサンドラ・ブロックを、カメラは脚の下から静かになめ上がっていく。両脚でしっかりと大地を踏みしめるサンドラの大写し。彼女は、このとき、何を思ったか。それは、重力、である。自分の身体に戻った重力を、このとき、初めて実感して、言葉を失った。地球にある重力に、全身で感動したのである。
だから、「ゼロ・グラヴィティ」というこの邦題は、適切ではない、と私は、思う。作者は、「重力」を描きたかったのである。
99.9%が宇宙空間というこの映画の尺の中で、この地球シーンは、0.1%にも満たないかもしれない。40数億年という宇宙のなかで、人類の歴史は、数字に表せないくらい微々たるものであることをも、無言で伝えているように思えてならない。
4.0から、邦題の分0.1を引かせてもらった。