しぇんみん

トランセンデンスのしぇんみんのネタバレレビュー・内容・結末

トランセンデンス(2014年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

人間は理解できないものを恐れる。

全てを掛けて愛したものでも、理解できなくなると恐怖するものなのか?

最先端の人工知能の研究者であるウィルは、その技術を恐れる過激派テロリストの襲撃に合い、余命僅かの身となる。

同じ研究者である妻エヴリンと親友マックスは、そんなウィルの死を否定し、意識を最先端のスーパーコンピューターに移植しようとする。

何とか移植は成功し、ウィルの意識はコンピュータネットワーク世界で生き続けることとなる。

やがて膨大なあらゆる知識を手に入れた彼は、驚異的な進化を遂げて行く...。

人間にとって当然のごとく「善」として創造された人工知能が、自分の意思と高度な能力を持ち行動するようになると途端に「悪」となる。

『ターミネーター』『マトリックス』などを彷彿とさせる王道プロット。

実は善悪とは絶対的なものではなく、見る側によって異なる。

人工知能側としては、自分の「善」を信じての行動なのだろう。

本作は、最後の最後まで人間(更には地球)の味方であった人工知能を、危険と見做した人間による破壊行為にテーマが置かれているようだ。

最先端技術の映像も地味ながら美麗で、ナノマシンの表現も未来を感じさせるものだ。

でも、ウィルを愛し、彼を生き永らえさせることに心血を注いできたエヴリンですら、彼を最後まで信ずることが出来なかった。
相手が未知のものであると感じた時点で、人間は恐怖を感じてしまうものなのか?

こんな感じでコンセプトも映像表現も好きな部類のものなのだが...。

ナノマシンの効力が人体だけでなく、機械にも及ぶ修復能力を持っており、資源が無くても構築できたり万能過ぎて説得力が無い。

ラスト間際の襲撃シーンも、「ハイブリッド」VS人間の軍隊の馬鹿っぽい攻防戦に終始してしまい、B級感が漂う。

また、前半で人類のためとして多くの殺人を犯したテロリスト集団が、罰せられないばかりか、後半はヒーロー的な扱いになってしまったことにも納得がいかない。

最終的には、彼らのせいで全世界が大停電による文明崩壊に至る訳で、更にどれだけの人間を殺したことだろうか。

「本当に恐ろしいのは人間の恐怖心」と言いたいのかもしれないが、描き込み具合が浅過ぎ。

ドラマ構成がイマイチで残念。あと一息!

2016/11/27
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