Kaoru

ハンナ・アーレントのKaoruのレビュー・感想・評価

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)
3.3
思考の風がもたらせるのは知識ではなく、善悪を区別する力、美醜を区別する力、人は考えることで強くなるので決して考えることをやめてはいけない、ですって。
ハンナのこの言葉に深く深く感銘を受けました。

ハンナ・アーレントはとてもパワフルなおばちゃんで、考えたって一向に行動に移さないような頭でっかちの学者なんかとは全然違う。

たっくさんの友達や仲間を敵に回したけれども、自分を持ってして“考えることで強くなる”というコトを見せ付けている感じがすんごくカッコいぃ。

現代に生まれたアタシたちは人の目が怖くて目立つことを恐れたり、他人の批判が怖くて意見をひっこめたり遠慮してしまぅことなんてたくさんある。そういうことも自分について、または自分の主張について吐くほど考えるときっと周りの意見になんて簡単には左右されないんだと思う。

「考える」という行為は“答えが出るまでの過程”というなら、なんでもグーグルさんに聞けば答えが出てしまぅ現代、アタシたちは考える機会をひどく失ってしまっているなぁと感じた。そもそもネットの答えだって正しいかどうかだって分からない。分からないけれども疑いを持ってみようとすら考えない。答えや対応の迅速さが求められる一方で、迷ったり悩んだりする過程っていぅのがとっても大切な時間なのかもしれなぃと感じたわ。

人の言葉に隠れるのはとてもラクなのだけれど、それは絶対自分ではなぃ。きっとアイヒマンも人間だったらユダヤ人を強制収容所に送る決断はできなかったはず。それが組織という隠れ蓑を借りるとどこまでも残虐になれてしまぅ。コトの大きさは全然違うけれども、人からの命令を遂行する。人の答えをなぞる。人の意見をなぞる。これら全て他人に自分の仮の姿を求めているだけよね。

極論かもしれなぃけれど、アタシたちの中にも小さなアイヒマンは存在しているのかもしれなぃ。あぁ恐ろしい…
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