タキ

セブン・サイコパスのタキのネタバレレビュー・内容・結末

セブン・サイコパス(2012年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

脚本家のマーティ(コリン・ファレル)は「セブン・サイコパス」という新作映画の台本を依頼されているが執筆が難航していた。友人のビリー(サム・ロックウェル)は自らネタを提供したり新聞にネタ集めの「サイコパス募集」の広告を載せてマーティに協力する。やがてマーティはビリーと組んで犬泥棒をしている愛妻家のハンス(クリストファー・ウォーケン)やウサギを抱いたシリアルキラーのキラー、サガライア(トム・ウェイツ)、シーズー犬ボニーをこよなく愛するマフィアのボスのチャーリー(ウディ・ハレルソン)などイカれた連中の騒動に巻き込まれていく。彼は果たして無事に脚本を仕上げることができるのか。展開が全く読めないし人を食ったような脚本でなんだかケムに巻かれた感が漂うんだけど、じわじわと面白さが湧き上がってくる。
近年サイコパスの意味合いが広範囲になっていてちょっと違う気もするけど、みんな大切なものの愛し方が常軌を逸しているだけでその行動はわからなくもない。ビリーはなによりマーティが大切。マフィアのボス、チャーリーは部下より愛人より犬のボニーが1番。娘と妻を殺されたハンスは非暴力のクエーカー教徒。ザカライアはマギー探しの約束を違えたことで1975年以来のキラー魂が燃え上がる。
みんな芸達者でどのシーンも印象的なんだけど頭が吹っ飛ぶようなバイオレンスの中で異彩を放っていたのがベトナム人の話を救いの物語に変えたハンスだった。夢から覚めた焼身自殺の僧侶の物語を「闇ではなく光を選んだ男の決意につながるんだ。その光というのは自らを犠牲にした炎の光だが。」と彼は言った。このベトナム人の話の後半は実話なんだけどマーティに酒の席で安易に語られたハンスの物語は暗闇ばかりの半生だったけど本当の自分の人生は炎の光を発していたと伝えたかったのではないか。そしてハンスは「灰色じゃない」ところで亡き妻と娘に会えたのかもしれない。せつない。
マーティの脚本は無事仕上がりエンドクレジットが流れホッとしたその瞬間に約束が違うとザカライアからの電話が入る。妻のマギーの殺人に心を痛め改心してるのかと思いきやサイコパスのスイッチはそこではなかった。そしてシャアラァァプ!!の声も裏返るマーティだったのに殺人鬼ザカライアを一旦撃退するまでになっていた。そして彼はいまだボニーを飼い続けている。その後が気になって仕方ない。

実はコリン・ファースでてこないなーと思いながら1時間見たんだけどコリン・ファースではなくコリン・ファレルだと分かった時の脱力感…気づくの遅い…とはいえ面白かったのでなんの問題もない。気を取り直して二回見たけど二回目は爆笑だった。キャスト陣がめちゃウマなのとへんてこでとっちらかってるようでちゃんと伏線回収できててなんだか引き込まれる面白い脚本なので時間が許せばストーリーの行き先が分かってから2回目みるのもオススメ。
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