シマすけ

ランボー3/怒りのアフガンのシマすけのレビュー・感想・評価

3.7
「お前の悪夢さ」


タイで静かに暮らしていたランボーのもとに、トラウトマン大佐がソ連軍に拉致されたとの知らせが入る。ソ連軍基地のあるアフガニスタンへ向かい、そこで迫害されているアフガン戦士を見たランボーは、彼らの誇りのため、大佐を救うため、基地に潜入する。


アクション映画として観るとやっぱり飽きないし面白い。
実際に戦車やヘリコプターを動員した大人数がぶつかり合うクライマックスはCGでは出せない迫力。メタルギアのような隠密行動や弓矢アクションもパワーアップし、どんだけ火薬使ってんだよとツッコミたくなる大爆発の応酬がランボーの無敵っぷりを引き立てています。首吊り爆破とか新しすぎる殺し方で笑った。
もう平和に暮らしたいのにいつも面倒事に巻き込まれるランボーが気の毒になってきます。しかし戦場に到着すると水を得た魚のように大暴れしてしまう逃れられぬサガ。心では戦争を嫌っているのに体は闘争を望んでいるという矛盾を、スタローンの苦悩の表情が物語っています。
それはともかくなんでスタローンは叫びのマシンガン連射や弓の構えがあれほどカッコイイのだろう。

でも前2作と比べてどうしてもプロパガンダ的な演出が目に付いてしまうのがマイナス。
公開当時はまだ冷戦終結前だったとしても、ランボーの立ち位置やソ連の描き方に不満。ソ連が悪の枢軸扱いされていてそれをランボーが成敗するというストーリーに、ソ連を一方的に悪と決めつける正義のアメリカという当時の考えが透けて見えているのが気持ち悪い。逆を言えば当時の風潮が分かって面白い。

こういう物語は当時多かったとして、アフガニスタンの描き方に今見ると後味の悪さが残ります。劇中ではソ連の支配に抵抗する誇り高い戦士が登場して、ランボーが彼らに協力するという流れ。確かに彼らの決して屈しない誇り高さや馬術は武士に通じるものがあってとてもカッコイイ。
しかし現実ではアメリカがアフガニスタンに支援という名の介入を行った結果、タリバンやアルカイダというテロ組織が生まれてしまう。
戦争が虚無しか生まない事をよく知っているランボーが体制側についてどうすんのよという話。
最後のメッセージが無ければ想像の余地があったのに、あれのせいで戦いを正当化しているような後味の悪さがある。
その辺はスタローンも含めて当時のアメリカが疲れていたという現れなのかもしれません。


アクションはすごく見応えがあったのに、アメリカという国の姿勢が見え見えだったのが受けつけなかった。
シマすけ

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