馬井太郎

愛の渦の馬井太郎のレビュー・感想・評価

愛の渦(2013年製作の映画)
3.5
たまたま通りかかった映画館の大きなポスターが眼に入った。なんとなく惹きつけられて、時計を見ると、上映時間に適度な待ちで、ぴったんこ、懐具合は、ぎりちょん、だった。昼飯代がチケットに変身した。
前知識も、見知った俳優ひとりも、いない、正直言うと、このところ飢えてる日本人俳優のセックスシーン見たさだった。
ところが、この欲望は見事に裏切られた。この敗北感は、名を変えて手ごたえと満足感へと変わっていった。
そのひとつは、照明である。三位一体(監督・カメラ・照明)となったカメラアングルと逆・順光照明による色彩は、何度もうなってしまった。密室劇だからこそ、凝らなければならない宿命を超えた、大きな拍手を送りたい。
(閑話休題、このサイトでは、監督、脚本だけで、ほかのスタッフは名前が掲載されていない。データが膨大になってしまいますが、作曲、照明くらいまでは記載していただけないか。そうなると、録音、助監督・・・キリがないですね。やっぱ、無理)
ラストシーンが、最高だ。これがなかったら、昼飯抜きにした甲斐がなかった。
大写しは、役者の微妙な動きひとつが大きな意味を持つ。そのなかで、池松が、一回だけ、眼を、まばたきしてしまった、いや、これは、監督の指示だったか、どうかわからない。
この時の、まばたき、これを言うのは細かすぎる、うるさいよ! でも、私は、あえて言わせていただきたい、このたった一回のまばたき、これがこの最高のシーンを壊してしまった、と私は、残念に思っている。
なぜか? 一度ご覧になってください。