新潟の映画野郎らりほう

アメリカン・ハッスルの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)
4.5
【完全無欠】


9:1分けに苦心するベイルで幕開くつかみ最高のオープニング。 「世界にひとつのプレイブック」の情緒不安を更に発展させたかの様な 各主要キャストの惚れ惚れするパフォーマンスと、的確に確実に脇をサポートするアンサンブル陣の流石と唸らされる圧倒的安定感。 作品の持つ諧謔性とサスペンス性を幾重にも倍増させた 適所ズーム・ストップモーション等が光るキャメラワークとリズミカルな語り口。 二転三転どころか五転六転する実話ベースの知られざる驚愕性とカタルシス。 そして、「他者のみならず自分自身をも欺き見失う」詐欺の多角的且つ重層的訴求と、「社会性第一義による必要悪と 額面的正義行使との相剋」に見る哲学性、等 すべての要素がここまでハイレベルにパッケージングされている事に驚く。

同時進行するサブエピソード「氷の話」や 70年代全開ファッション等のディティール類も抜かりなく、ディスコダンスやローレンスの熱唱等 エンタメとしてのケレンの付与も十分で 最初から最後迄堪能。 まさに[完全無欠]だ。




《劇場観賞》