ゲイリーゲイリー

インターステラーのゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.0
種としての保存か、それとも自らの家族の元へ帰る事を選ぶのか。
論理か感情か。

本作の魅力は、ハードなSF作品でありながらも物語の主題である「愛」と見事融合させた点であろう。
映像も迫力に溢れており、ブラックホールの映像化や他の惑星のビジュアルが特に印象に残った。

また、人間の葛藤や他者との信念の違いについても描かれていた。
その点において、マイケル・ケイン演じるブランド教授やマット・デイモン演じるマン博士が本作において果たした役割がとても重要であると思う。
彼らの下した決断は、誉められたものではないが、実際自らが彼らの立場だとすればどのような決断を下したかと考えずにはいられなかった。

そして本作がハードSFでありながらも感情的、情緒的さを内包している様が見受けられたのが、マン博士の惑星に行くかエドマンズ博士の惑星に行くべきかを決断するシーンであろう。
アメリアが述べた、
「私たちは理論に縛られすぎていた。聞いて。だって愛は人間が発明したものじゃない。愛は観察可能な力よ。何か意味がある。」
というセリフはいつの時代も我々が肝に銘じておくべきことではないかと思った。

人間という種を存続させるため自らの家族を諦めるという、種の保存vs家族への想いという構図を想起させつつも、本作が最後に導き出した結論はそれらは必ずしも対立するものではないという事だ。
むしろ家族への想い、愛する人々の想いがあるからこそ人間への想いが助長されるのではないだろうか。