原題はThe Best Offer.
ラストまで観るとなんと皮肉なタイトルでしょう。
最高級品を鑑定する鑑定眼を持ち、オークションを仕切るオークショニアを描くならば、衣装、美術、照明すべてを一級品にしないといけない。
その点この映画はストーリーもさることなががら、舞台設定が本格的で正しいお金の使い方をしていると思います。
潔癖症で、寸分の隙もない鑑定士を演じるジェフリー・ラッシュがずっと出ていて、この時、他の所では?は一切ありません。
カメラはずっとヴァージル・オールドマンを追うからこそ、他の場面で何が起きているかが「見えない」
正確な鑑識眼を誇るヴァージルが、見抜けなかったもの。
それは「偽物の中には本物が混じり、本物の中にも偽物が混じる」という事。
機械仕掛けの人形、オートマタが何を表すのか。
依頼をされたヴィラの向いにあるカフェでいつも座って数を数えている小人は誰か。
映画はオリジナル脚本で、ここまでのミステリを作り上げたことに感心します。
高級品の中の偽物・・・・・・それを見抜く鑑定士の眼。
面白い映画というより、「よくできた映画」だと思います。