このレビューはネタバレを含みます
中盤までのわたし
(あれ、サスペンス風味の恋愛ものなの? 思ってたのと違うな……)
終盤のわたし
(……あーあ、やっぱりやっちまっただよ)
と、振りを散々きかせまくっているので終盤の展開にそれほど驚きはなかったものの、これ、すっげー切ないすわ。
ヴァージルの初恋をあのまま描いてくれていたらハッピーだったのに。でも不穏な空気はずーっと出てるし、しょうがない。
レストランに立ち寄るところで終わるじゃないですか。
うじゃうじゃと配置されたカップルたちがいて、ヴァージルは一人。周囲の歯車はそれぞれ噛み合っているというのに、彼ははじめから空回っていた。
クレアから思い出の場所とは聞いたけど、たぶんそれすら嘘なわけで。
偽りの中で、ポツンと真実を信じて待つ。なんてあとを引くエンディングだろうか。
ジェフリー・ラッシュの「仕事はできるけど愛を知らぬ面倒くさい老人ぶり」がすんばらしい。仕事も潔癖すらも忘れて恋にまっしぐらな姿はむしろ可愛かったです。
バルボッサでしか知らなかったけどいい役者さんだなあ。