B5版

少女は自転車にのってのB5版のレビュー・感想・評価

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)
3.2
頭の回転が早い。
勉強は嫌い。体を動かすことが好き。
主人公は日本にもいるようななんでもない女の子。
ある日幼馴染が軽やかに自転車で市街を駆け抜ける姿をみて、自分もどうしても自転車が欲しくなってしまう。
だが周囲からは尽く「女の子が自転車なんて」と反対される始末で…

たかが自転車でここまで焦ったく話が展開することが一つのカルチャーショックである。
生まれおちた国が信仰と未来を決定づけ、成長に伴い女の選択は自ずと狭まって行く。
この作品は宗教の是非を問うものではないが、宗教を盾にして欲を悪だと抑えつけ罰を与えるというのは外部からみたら信仰から離れる大きな契機になり易いのではと疑問に思ってしまうなぁ。
常に我慢を強いられるのは女側。
一つの母子を通して映る悲嘆や哀しみをしっかり描きつつ、その負の感情は次世代に持ち越したくない決心と、子供世代の自由への予感を残した清涼感のあるラストに、監督の社会への小さな抵抗と切実な祈りを感じた。

DVDの特典映像によると、サウジアラビアでは男と女が外で一緒にいることは許されず撮影は難航したらしく、上映もまた禁止となったそう。
その国の女の子達にこそ見てほしかったろうに。
B5版

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