えいがうるふ

アデル、ブルーは熱い色のえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

噂に聞いていたとおり、物語の大筋は「君の名前で僕を呼んで」と同じく、まだ自分のセクシュアリティの自覚すら覚束ないウブな若者が運命の「はじめてのひと」となる恋の熟練者に出逢い性愛の深淵に触れ、その歓びと喪失とを経験するストーリー。
若さゆえに痛々しいほど性急に燃え上がり、相手の身も心も貪欲に求めずにはいられないその様がなんとも切なくもどかしく、もうとっくに過ぎた季節の話なのに胸を奥底に沈んだ何かが疼くような思いがした。

大筋だけでなく、エマが書いたアデルの絵だとか作中で引用される詩だとか、そうした一つ一つのシーンでモチーフとなるものがいちいち抜かり無く美しく仕上げてあるのも、とても仕事の丁寧なレストランで素晴らしいコース料理を頂いているようで、ずっと画面に惹きつけられた。
特に、幼い子どもたちが読み上げるアラン・ボスケの詩「なくていい」がなんとも素晴らしく印象に残った。邦訳されている詩集が見当たらなかったのだが、もし出版されていたら是非手元に置きたい。