きゅうりのきゅーたろう

白ゆき姫殺人事件のきゅうりのきゅーたろうのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
4.0
国定公園・しぐれ谷で、美人OL・三木典子が惨殺される事件が発生する。全身をめった刺しにされた後、火をつけられるという異常な事件。疑惑の目が向けられたのは、地味で目立たない同期の城野美姫だった。ワイドショーのディレクター・赤星雄治は、美姫の行動に違和感を覚え、取材を開始。浮かび上がるのは「恋人を奪われた復讐」「小学生時代の呪いの儀式」など、不穏な噂ばかり…というお話。


点数が低いのでアレかなと思ったけど、普通にめちゃおもろいやん

湊かなえ作品らしい『厭さ』や『嫉妬』もふんだんに盛り込みつつ、芥川龍之介『藪の中』システムをとり、いかに人が自身に都合の良いように記憶を捏造するかについてメスを入れる

そしてさらに憶測や印象で人を傷つけること(これは公開された当時も恐らく問題になっていたが、とどまるどころか今では更に加速している)の恐ろしさ、そして自身が正義だと思った人たちの恐ろしさに警鐘を鳴らす

人は信じたい(自分が納得する)ストーリーでしか事象を把握できないという、未だ乗り越えられない欠陥をもっと自覚すべきであり、事態を見極めぬままSNS等で自身の意見を表明してしまうバカがひとりでも減ることを祈る
言葉で人を殺せる自覚をもっと個々人で噛みしめるべきで何度繰り返せば理解するのだろう…

この城野の役は井上真央だからこそ成り立っているし、三木典子も菜々緒だからこそ成り立っているキャスティングの妙が際立った傑作である