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大統領の執事の涙のkuuのレビュー・感想・評価

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
3.8
『大統領の執事の涙』
原題 Lee Daniels' The Butler.
製作年 2013年。上映時間 132分。

『プレシャス』のリー・ダニエルズ監督が、7人の米国大統領に仕えた黒人執事の実話を描いたヒューマンドラマ。
主演はフォレスト・ウィテカー。

綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズは、1人で生きていくため見習いからホテルのボーイとなり、やがて大統領の執事にスカウトされる。
キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争など歴史が大きく揺れ動く中、セシルは黒人として、執事としての誇りを胸に、ホワイトハウスで30年にわたり7人の大統領の下で働き続ける。
白人に仕えることに反発し、反政府活動に身を投じる長男や、反対にベトナム戦争へ志願兵として赴く次男など、セシルの家族もまた、激動の時代に翻弄されていく。。。

ダニー・ストロング脚本によるリー・ダニエルズ監督の今作品は、34年間ホワイトハウスの執事長を務め、トルーマンからロナルド・レーガンまでの大統領に仕え、アメリカ史上最も激動の時代を生きたユージン・アレンのキャリアに緩やかに基づいている。
執事(フォレスト・ウィテカー、セシル・ゲインズと改名)とその長男ルイス(デヴィッド・オイェロウォ)の目を通して出来事を織り込み、黒人の経験に関する異なる視点をドラマチックに表現している。
多くの伝記映画がそうであるように、ワシントン・ポスト紙の記事に記されたアレンの人生の出来事は、ドラマチックな目的のために変更されているが、アレンの人生のインパクトは残っているかな。
今作品は、マーティン・ルーサー・キングの平和的な非暴力アプローチと、暴力やその他の攻撃的な行動を含む必要な手段で戦うべきと信じたマルコムXの哲学という大きな背景を反映してか、平等達成に対する両者の哲学が大きく異なり、ルイと父親(次男チャーリー((イライジャ・ケリー))はベトナム戦争を選択)の間に溝ができていくのが、重要なドラマの1つかな。
大学を中退したルイスは公民権運動の活動家となり、ウールワースのランチカウンターの人種差別撤廃運動に加わり、フリーダム・ライダーとなったバスは白人のクランに襲われ、殴打と懲役に耐え、ブラックパンサー党のメンバーになることをちらつかせ、その黒人の誇りを強調することでブラックパワー運動と『黒は美しい』という言葉を生み出すことになった。
ルイが過激派の恋人キャロル(ヤヤ・アラフィア)を連れてきた家族の夕食会で、長老ゲインズはルイが俳優シドニー・ポワチエを批判したことに過剰反応し、家から出て行けと云い、この口論は悲しいことに何年も続くことになる。セシルが黒人平等の実現に貢献したことをマーティン・ルーサー・キング・セシルが表明して初めて、ルイは父親を別の角度から見ることができるようになる。
セシルがネルソン・マンデラのためのデモに息子と参加したとき、この傾向はさらに強まる。
フォレスト・ウィテカーやセシルの妻役のオプラ・ウィンフリーなど、オスカーにふさわしい傑出したアンサンブル・キャスト、衝撃的な歴史的資料、そして切実な家族ドラマなど、リー・ダニエルズ監督の今作品には勝利のためのすべてが備わっている。
しかし、残念なことに、この映画はしばしば強引で、メロドラマを芸術に変えるような繊細さや詩情に欠けている。
でもまぁ、自由と正義のために命をかけた勇気ある人々の姿を新しい世代に伝えるためでなくとも、今作品は個人的に見るに値する作品でした。
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