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寄生獣 完結編のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

寄生獣 完結編(2015年製作の映画)
3.4
『LOVE is ALIVE
 ~守るものはありますか?』

原作での対後藤戦というのは、それはそれは重大な事が起きる、2巻にまたがっての壮絶なクライマックス!キャスト発表時、その後藤に浅野忠信という配役に、完全にミスキャストと感じ劇場鑑賞時は冷めた目で観てしまいました。

この続編では、ミギーがむしろ引く位攻めの姿勢の新一。一体一体を駆逐していく中、知性ある寄生生物達は組織力を築いていきます。陰のトップとも言える田宮良子が静観の立場をとる中、新一を邪魔者とみなす市長の広川の対立から悲劇が加速していきます。

実験の延長上とはいえ、子育ての中で確実に愛と感情を知り始める田宮涼子。これはかなり難しい演技だったでしょうねぇ。深津絵里は相当に頑張ってますが、これはもうどうやっても原作の“紙面が醸し出す静”の雰囲気には勝てません。ただ、この完結編の見せ場のひとつ、田宮涼子が新一に“託す”場面。ここは本当に泣ける名場面ρ(・・、)これが映画という枠組みの中で観れた事はしあわせでした!

それにしても「ハハッ( ´∀`)」なピエール瀧はおいしすぎです!原作の三木はナンパするくらいだからイケメンな設定。だからピエールさんは、似てない…。でも、それをあの「ハハッ( ´∀`)」で持ってちゃうんだから、ズルい(笑)

市役所のくだりから、いよいよ映画はクライマックスへ!寄生生物が恐怖の対象から排除の対象となるこの展開は、人間の業の深さを映し出す。ただ、それに決して飲み込まれない後藤の圧倒的な存在感!クライマックスならではのチェイスシーンには日本の映画のレベルが上がった事の感動も感じられました。

正直、個人的には原作ファンとして里美の配役に納得いってなく、またこの完結編で観るふたりのあのシーンには、当時劇場の大きなスクリーンを前に冷めてしまってました。でもね… 観なおしたらね… 良かったよここのシーン!純粋に愛が描かれる場面としてとてもいいシーンでしたね(’-’*)

この後のラストバトルは、言うならば映画オリジナルの改変。この2部作というつくりの場合、実写版ガンツがそうだったように映画の尺に話を収める為の“まとめ”に入った感が出るもの。そして、それはこの映画も同様。だから、この完結編を劇場で観た時は、その辺どうしても“どうせ2部作の続編なんて”な見方をしてしまってました。ただ、寄生獣は原作も完結している分“まとめ”やすかったのでは?

いくら優れた原作でも、やはり調理の仕方がうまくなければマズいものが出来上がります。その点、山崎監督は腕があると思うし、ポイントの置きどころがいつもウマい。そして、この作品に関しては、希代のヒットメーカーとしていつもの特大を狙いに行ったのではなく、しっかり原作に寄り添い、つくりとして“甘くならない”ものをこしらえてくれたところは多いに評価していいのではないでしょうか?

里美への愛とミギーへの愛。
そして、守りたいという強い気持ち。その想いが強ければ、愛は…
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