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ダリオ・アルジェントのドラキュラのHKのレビュー・感想・評価

3.3
ブラム・ストーカー原作「ドラキュラ」のダリオ・アルジェント版です。
私は別にアルジェントに思い入れはありませんが、この古典ホラーをどう料理しているのかちょっと気になって鑑賞。
原題は“Dracula 3D”。なんと3D映画でした・・・もちろん配信は2Dですが。

もっとドギツイ色使いかと思ったら、落ち着いた奥行きある映像で時代色も出ており思ったよりいい感じ。
今夜は“ワルプルギスの夜” (中欧・北欧に伝わる魔女の祭典なんだとか)だから外には出ないようにとか、狼の遠吠えをドラキュラ伯爵が“夜の子供たちの素晴らしい歌声”とかいうセリフは『魔人ドラキュラ』でも出てきましたから原作からの引用なのでしょう。

しかし雰囲気はいいものの、外出厳禁の夜にさっそく若い女性が禁を破って男と密会。
納屋でいきなり裸になってイイことをし始めて最初の犠牲者になるのは古典というよりはスプラッタ・ホラーのお約束ではないかと。
原作にどこまで忠実なのかはわかりませんが、とりあえず女性のハダカ多め。ボカシもあり。
本作のルーシー役はハダカ担当も兼ねた監督の娘アーシア・アルジェント。

ドラキュラ城はコウモリもいないし蜘蛛の巣も無いし、けっこう普通に小ぎれい。
ドラキュラもイケオジ風の普通のオジサン。でも考えてみると、このくらい普通の人とお城でなきゃ誰も近づかないし罠にもかかりませんよね。
本作も3人官女はナシ、変人レンフィールドは早くから登場。

ドラキュラがコウモリやオオカミだけでなくフクロウやハエの大群に変身するのは新鮮。
しかし目が点になったのは巨大〇マ〇リ。でも本当に出たらこれが一番怖いかも。

で、本作のヴァン・ヘルシング教授はなんとルトガー・ハウアー(当時68歳)。
これまでと違って博士と言いながらも流しのヴァンパイア・ハンターの風情があって、鍛冶屋に不法侵入して自らニンニク・エキス入り弾丸(これが効きます!)を鋳造したり。
助っ人に太ったヒゲの神父がついてくるのがマカロニウェスタン風(?)。役立たずですが。

前半は原作に寄せたのか思いのほかオーソドックスな展開でしたが、後半はやっぱりというか良くも悪くもかなり個性的な展開に。
前半のゆっくりしたペースじゃ原作どおり海を渡ってロンドンに行く時間は無いな、と思ったら案の定トランシルヴァニアの村を出ることなくお話は全て地元で終息しました。
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