磔刑

パージの磔刑のレビュー・感想・評価

パージ(2013年製作の映画)
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「吉田沙保里1人置いてた方がマシなレベルのセキュリティ」☆0.5

いやーガバい。何もかもがガバガバで真面目に見てるのが馬鹿らしくなる。これ程ガバいのは『佐賀のがばいばあちゃん』以来ではないだろうか。
セキュリティ万全の家なのになぜガキがセキュリティを解除できるのか?今日日、家電にだってチャイルド・ロックぐらい付いてるぞ。

そもそもパージの設定が甘さに加え、アメリカ政府主導で行われる殺戮劇場のスケール感を全く描写できてないので設定そのものが死んでる。
内容自体はバイオレンス重視の往年のビザール映画と何ら変わらない。ホラー映画でありがちな警察やら政府の存在を都合良く抹消する事はままある。今作はそれを逆手に取った設定を設けている。なので「警察が来えへんのは変なんじゃない?」って雑念を排除して観れる利点は確かにある。しかしパージが合法化され、犯罪や貧困が激減したって所に一切説得力がないので結局は荒唐無稽な設定をそれらしく見せる為に荒唐無稽な理由を付けてるだけで新たな雑念を生んでしまっている。

パージは現代の貧富の差をエンタメに変換しており、設定に一定のメッセージ性があるのは確かだ。しかし犯罪や貧困の減少といった要素はパージの設定を無理くり関連付けているだけしかない。パージのおかげで社会問題が解決し、観ている者がそれに納得える程の説得力ある描写が無いのにそれが透けて見える。
なので結局はキャンプ場に理由なくモンスターが突然現れ、襲って来る直情型の往年のホラー映画と根底は変わらない。しかし、その癖に社会問題を無理矢理絡めて賢しこぶってるのが中々薄らい寒い。日本で言うところの『リアル鬼ごっこ』あるいは新世界の神と類似した厨二病マッハの痛々しさを感じる。


主人公宅がセキュリティ万全の家であり、襲撃者達がその最先端セキュリティを如何に突破するかも作品の見所だ。しかし、主人公が「すまん突破されるんやで」って速攻で諦め、肩透かしもマッハである。その展開は暗に製作者が作品の魅せ場1つを放棄するに等しい愚かな行為だ。
襲撃者も「お前の家に入る道具を用意してるから」とかわざわざ言うからどんな仰々しいものが出てくるのかとワクテカしてたら扉や窓にチェーンを巻いて車で引くって。ドヤって宣言した割にはインパクト弱過ぎだろ。つーかこんな脳筋な方法で攻略されてよく今まで無事にいられたな。パニックルームぐらい用意しておけ!!

家を突破されてからも主人公が「考えがある!」って言うからなんか知略で対抗するのかと思えばショットガンで真っ向勝負って、それじゃ只の『ダイ・ハード』の劣化ですやん。
しかもピンチになったらだいたい第三者が助ける展開で「はいはい、ピンチは安易に訪れるのにそれを打開する方法は何にも思いつかなかったんですねー」って感じでハラハラもドキドキも全くしない。第1話で打ち切り確定の少年漫画レベルの脚本である。
息子が付けてた謎のバイタルを図る時計が余りにも唐突かつ不自然だったので物語上何かの役に立つのかと思ってたら、なに最後のwwwマジ草なんですけどwwwあれがしたいが為にあんな不自然なもの出したんだですかwww辺り一面大草原ですわwwww
何より息子が終始いらん事をしてストレスもマッハを極めている。パージ反対派にしても思考が沼過ぎる。ギークっぽい見た目なので頭が冴えてたりするのかと思ったらそうでもないし、とにかくプロットの作り込みの甘さが目立つ。

てな感じで設定は壮大だが物語はものすごーくチープで視野の狭い、絵に描いたようなB級映画だ。しかも他のB級ビザール映画と違ってブギーマンやらジェイソンといった化け物やらモンスターが出ないのでインパクトも薄い。バカに振り切って笑えるかと言ったらそうでもない普通の駄作である。
こんな脳に血の通ってない作品が何作もシリーズ化してる方がパージ法よりよっぽど恐怖だね。
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