踊る猫

おやすみなさいを言いたくての踊る猫のレビュー・感想・評価

3.7
姫路シネマクラブの例会にて鑑賞。うーん……なんとも悩ましい映画だ。意地でも回想シーンを挿れさせまいとする監督の美学に拠るものなのか、極限まで絞った台詞回しには好感が持てど、前半はやや退屈で「ジュリエット・ビノシュ、老けたなあ……」と思いながら観ていた。後半に入り彼女が娘とケニアに入るあたりから話は尻上がりに面白くなって来る。そして、ネタを割ることは避けるが彼女のアイデンティティが崩壊するかのような「鬱エンド」な終わり方をすることになる。単純に彼女のサクセス・ストーリーにしなかったことも、ホームドラマとしてハッピー・エンドをもたらすものにしなかったことも、監督の現実を直視する意志を感じさせる。要らないシーンを捨てて(カニを子どもたちに見せるシークエンスとか)、もっとキビキビ撮って欲しいと思った。
踊る猫

踊る猫