もものけ

007 スペクターのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

007 スペクター(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

生家"スカイフォール"から燃えさかった残骸と、Mの遺言からメキシコに独断潜入するジェームズ・ボンドは、スキアラという男を追っていた。
しかし、それは謎の組織"スペクター"のほんの末端の事件に過ぎなかった…。






感想。
のっけからクライマックスかのような”Day of the dead”のパレードに、とんでもない数のエキストラが大迫力で踊りまくりながら、ヘリでの失速シーンなどアクションのド派手さてんこ盛りから始まる、ジェームズ・ボンド・シリーズ。
やっぱりシリーズ最高のジェームズ・ボンドとしてダニエル・クレイグがビシッと着こなすスーツ姿がイカしてます。

最もアクションとドラマ性が高いと思えるジェームズ・ボンド・シリーズの最高峰を作り上げたサム・メンデス監督には脱帽です。
ただのヒーロー物アクション映画をここまで重厚なストーリーと、映像によるアクション・シーンのド派手さで、個人的には一番好きなジェームズ・ボンドです。
毎回テーマ曲で飾るオープニングタイトルの映像美が、MVのようにセンス良すぎです。

しかし他国で諜報員が勝手に活動して大混乱を起こしたと、いきなりお叱りを受けるユーモアも忘れずに演出されていて、極上のエンターテイメントとして完成されたシリーズ作品でございます。

ジェームズ・ボンドの出生の秘密を巡る「スカイフォール」からの続編であり、これほどの大作シリーズでありながら、しっかりと練り込まれたストーリーと、キャスティングの続投にファンとしてはウキウキさせられます。
今作のボンド・ガールは若手ではなく大御所でイタリアの至宝モニカ・ベルッチでございます、歳を召しても相変わらずの美しさは貫禄あります。
シリーズ通してのボンド・ガールであるナオミ・ハリスも、美しさと愛嬌さで黒人女優の中でも、ひときわ光っている女優です。
もう一人のボンド・ガールであるレア・セドゥも高い演技力とフランス人としての美しさが際立っております。
世界中をロケーションとして世界中の美女を総出演させるのもまた、極上のエンターテイメントです。

もはや時代はモーターコイルによる動力を用いたスーパーカー。
イタリアの狭い路地をアストンマーティンDB10と、ジャガーC-X75という見た目も新しいハイブリッド車で疾走するカースタントに、押し出させられるようにフィアット500までもがデジタルメーターでして時代を感じさせます。
市販化されていない2台がバトルを繰り広げるなど、車好きにも楽しませてくれる演出です。
ちょくちょく入れてくるジョークがまたアクセントになっていて、笑えるのにカッコいいという。

情報化社会と監視社会に重点を置いた世界平和に取り残されてゆく"殺しのライセンス"が、こちらも時代を感じさせる演出になっているのもニクいです。

前作がミリタリー・アクションだったのに変わって、今作では謎の"スペクター"と呼ばれる秘密組織を巡るミステリー作品になったので、ミリタリー好きの私には多少トーンダウンした感じでした。
ボンド・ガールとのロマンスも盛り込まれており、ラブストーリーの要素が強くなってしまったのも残念な点でした。
とはいえサム・メンデス監督の絵になる映像美と、世界中の名所巡りのようなリゾート気分が味わえる演出なので、安心して鑑賞できます。

原作でのプロットとして悪の組織の親玉的キャラクターであり、過去作品7作に登場した"スペクター"を創設したエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドが、遺作となりながらも後継作家に継承されるジェームズ・ボンド作品の核になる悪役として、初めて姿を表すことになります。
"オースティン・パワーズ"の悪役は、このキャラのパロディらしいです。

やっぱりジェームズ・ボンドにはアストンマーティンDB5がよく似合うラストに、4点を付けさせていただきました!
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