mimitakoyaki

未来を花束にしてのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
3.9
誰、こんなふんわりした邦題つけたん?
そんなふんわりな話と違うし!
命かけて身を呈して女性の参政権実現のために闘った女達の話です。

およそ100年前のイギリスでは、女性の地位は低く、人権がなくて、奴隷のように働かされ、親権もないし参政権もない。
男達の暴力や抑圧に耐えながら生きてきてたんですね。

女性の参政権運動もあるにはあったようですが、権利を求める女性達の声は全く無視され続け、ずっと問題にもされなかったため、過激なやり方で訴えようという武闘派なグループも出てきました。

私自身の考えで言うと、暴力はあかん。
だから、サフラジェットの投石や爆破(人を傷つけることはせずにものを破壊してアピールする)など、やり方としてはどうしても共感しにくいところがありました。

だけど、何十年も平和的に訴えてきた事がまるで無視され続け、いつまでたっても実現せず、その間も女達は人間らしい権利を認められないまま虐げられ抑圧されていってる。
世間の注目を集め問題提起するために、女性達の怒りが可視化されるように、怒る女達が確かに存在することを示すように、過激な方向に向かわざるを得ない状況があり、いろんなものを犠牲にしながらも、権力からの激しい暴力や世間の冷たい目、無理解にも屈せずに闘ってきた女性達の熱い思いにはとても共感しました。

「アルジェの闘い」では、権力に対抗してテロをたくさん仕掛けるという暴力には暴力で…という闘いをしてましたが、結局最後に国を動かしたのは、暴力ではなく大勢の民衆だったという史実が描かれていました。
きっとイギリスで女性参政権が実現したのは、サフラジェットだけでなく、幅広い多くの女性達の運動があったのではないかと思います。

私は選挙を一度も棄権した事ないし、投票はとっても大切な行為だと考えてるのですが、あたらめてこんな歴史を知り、女性達の闘いがあってこその今なんだと思うと、私の一票がますます尊く重い価値があるように思えます。
自由、平等、尊厳を守るために行動したすべての人達に感謝したいです。

本作でサフラジェットのリーダーを演じたメリル・ストリープが、今年のゴールデングローブ賞の授賞式のスピーチで、名前こそ出さなかったもののトランプ大統領の権力の横暴に対して批判していたというニュースを見て、こうしてきっぱりと不正義に対してものを言えるというのがかっこ良すぎるし、映画スターやアーティスト達がどんどん政治に対して発言や行動したり、デモで何十万人という人が集まるのを見ると、民度の高さを感じます。

ちなみに、2016年の女性の地位の世界ランキングで、日本は144カ国のうち111位で過去最低となり、G7の中ではダントツに低いという結果でした。
世界的に見ても女性の地位が著しく低い国なんですね…。
「女性が輝く社会」だなんて言いながら、1年前より酷くなって女性差別が加速してますから、そんなのを見ると、私は子ども達の未来にちゃんと責任持てるようにしなきゃなと思ったりしました。

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