結局カレー

福福荘の福ちゃんの結局カレーのレビュー・感想・評価

福福荘の福ちゃん(2014年製作の映画)
3.5
森三中・大島美幸が演じるオネエでもオナベでもないシンプルなおっさん。北関東弁の自然さ、ふとしたセリフの掛け合いの面白さは芸達者の技だったと思うし、何より32歳独身男性の純朴さ、を演出するには最適な人選だった。こんなに愛らしくて、被写体としての魅力があって、素敵なおっさんを演じられる俳優は彼女ぐらいなんじゃないかって。

劇中に出てきた「過去に誰かの心を傷つけたツケを今自分が傷つくことで支払っている所なのよ。」という言葉は、あながち間違ってない気がする。それが事実かどうかってことじゃなく、人の持つ信念として。あれほど人の心を踏みにじることをしていても大人になったら自然と思い出すこともなくなっていたわけで、自分と向き合うってことは=過去の自分と向き合うってこと。今が上手くいかない原因は未来から探しても意味がないんだよなぁ、過去が人を作っているわけだから。千穂の償いと福ちゃんのトラウマ払拭の物語でもあったのかな。

寂しい人、悲しい思いをした人に寄り添うなんてことはせず、そっと受け止めてやる度量がある「漢」福ちゃん。「謝られても意味ねえっつったけど、謝られないよりは、謝られた方がいいよ。」って言える福ちゃんみたいになりたいなぁ。人を元気づける力がある福ちゃん、そして大島美幸氏のハッピームービーだった。