⚪概要とあらすじ
ハーマン・メルヴィルの「白鯨」の裏側に迫るナサニエル・フィルブリックのノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描く驚異のサバイバルドラマ。
1819年、エセックス号のクルーたちは鯨油を入手するためにアメリカ・マサチューセッツ州のナンタケット島を出港する。一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)をはじめとする乗員たちは、太平洋沖4,800キロメートルの海域で白い化け物のようなマッコウクジラと遭遇。彼らは強大な敵を相手に必死で抵抗するものの船を沈没させられ...。
⚪キャッチコピーとセリフ
“伝説の白鯨との死闘。生き延びる為に、男たちが下した、“究極の決断”とは-”
「そばにいるよ」
⚪感想
分かりにくいけど、小説『白鯨』の元になった実話があり、それを元に『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇』という本が書かれ、それを映画化した作品。
とにかく実話だと思えないぐらい過酷。
今作といえばポスターのダサさが有名。
アメリカのポスターは鯨とは判別がつかないほど大きいの生き物の瞳がメインに描かれ、そこに1人の人間が立ち向かおうとしている。少し不気味で異様。タイトルは邪魔しない程度。
一方で日本のポスターはキャスト陣ドーン!!キャッチコピーバーン!!鯨ちまっ!。
正直改めて観るとそんなダサくない気がするし、キャッチコピーをなくせばだいたいイギリスや台湾、香港のポスターと同じ。
結局のところ原題のままじゃなんの映画か分からないし、キャッチコピーつけないとさらに分からないし、とりあえず『マイティ・ソー』で有名なクリス・ヘムズワースを押し出して観てもらおうって感じで悪くないし、仕方がない。
物語の作りが面白くって最初に白鯨を書いたハーマン・メルヴィルが登場して、白鯨との闘いを生き抜いた人に話を聞きに行くところから始まる。
『ワンピース』で白ひげが乗っている船がモビー・ディック号という名前で、それが『白鯨』の白いマッコウクジラを「モビー・ディック」と呼んでいたことから名付けられたということを知っていたから少しだけ親しみがあった。
19世紀を舞台にまさに人間と白鯨との戦い。白鯨との壮絶な闘いはもちろんのことその後のサバイバル生活も目が離せない。
海の神様を怒らせたのかと思うほど。
主演のクリス・ヘムズワース、ハーマン・メルヴィル役のベン・ウィショー、生き証人の若い頃を演じたトム・ホランド、2等航海士役のキリアン・マーフィーと豪華。
船長を期待していたが一等航海士となったオーウェン・チェイス。新任の船長とは対立するも仲間たちからは熱い信頼を得る。
新米航海士的なトーマス・ニカーソン。船酔いするし、めちゃくちゃ臭い鯨の体の中に入れられて油を撮ったりする。
新任の船長のジョージ・ポラード。オーウェンのほうが経験が多いけどジョージの方が上なのでやたら出しゃばる。良い家系の出身だから余計。凄い悪い奴ではなかった。逆にジョージの親戚の航海士が嫌だったかも。
特にクリス・ヘムズワースとトム・ホランドの痩せ方が凄まじい。
クリス・ヘムズワースは95kgから最終的には79kgまで落ちたらしい。2人とも1日3000キロカロリーから500キロカロリーにして体重を落としたとか。ゆで卵とセロリだけ。トム・ホランドは砂糖のかかったクロワッサンを盗み食いして、急に入れたせいですぐ吐いてしまったそう。
監督であるロン・ハワードは『スターウォーズ エピソード1』の監督オファーが来たことがあるとか。
⚪以下ネタバレ
大きな海の中でとてつもなく大きい白鯨との闘い。臨場感、緊迫感が凄い。そして戦い後は船を壊され小舟で逃げるしかなかった男たち。そうした中で食べ物に困り人間を食べるという選択。
幼い頃からオーウェンの友人で船乗りとして共に歩んできたマシュー。負った傷によって航海不可能で無人島に置いていかなくては行けなくなる。オーウェンは必ず助けるって言うけど目に見えてるからめちゃくちゃ辛いよね。
オーウェンは船長になれると思いきや口約束だったために破られ、新任のジョージは嵐に遭遇したり、鯨の捕獲量のノルマを達成できない。さらに白鯨によって船を失い、小船で漂流。飲水も食料もなくなり、船員が徐々に衰弱し、死ぬ。そこでオーウェンたちは仲間の肉を食べる。しかもそれは死んだ人ではあるんだけどくじ引きで殺す人を決めて、その肉を食べる時も。
全ては生きるための行動なんだけど痛い。
原作のタイトルは元は「復讐する海」だったらしくまさにそれ。人間が鯨を殺していた逆襲が彼らに襲いかかったとしか言いようがない。
⚪鑑賞
午後のロードショーで鑑賞。
⚪パンフレット所持