親友と二人で部屋をシェアしながら、ダンサーを目指す女性・フランシスだったが、親友を優先するあまり彼氏との同居を断ってしまったあたりから人生に暗雲が立ち込めてくる…というお話。
大人になりきれない大人の物語というのはもうひとつのジャンルと化しているけど、まさにそうなるかならないかの転換期とも言えるべき年齢に差し掛かってきている自分にとっては、何とも身につまされるような気分になるジャンルでもある。
とにかくフランシスはやる事なす事上手くいかない不幸体質で、しょっちゅうすっ転んで怪我をするわ、微妙に空気が読めない性格のお陰で人間関係もイマイチだわで割とボロボロ。
それでもあまり悲壮感を感じさせないのは、フランシスがそれを受けてポジティブに考えるでもネガティブに考えるでもなく、常にケロッとしてるからじゃないかなと思った。そこが進歩できない原因なんじゃないかという気もするんだけど、何が起きてもシレッとしてる様子がなんだか笑える。
満を持して向かったパリ旅行で、初日から大寝坊して午後から何が出来るでもなくふらつく姿は、寝坊しがちな自分の姿と重なって泣けてくる。
なんとなくオシャレ映画的な雰囲気を醸し出しつつ、実はそれとは真逆なぼんくら映画であるというギャップが魅力的な映画。フランシスを演じるグレタ・ガーウィグの飾らない感じも良い。
(2018.8)