朱音

アントマンの朱音のネタバレレビュー・内容・結末

アントマン(2015年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

多様なアイディアと遊び心に溢れたアクションシーン、まるでオモチャ箱をひっくり返したような映像表現が楽しく、アトラクション・エンターテインメントとしては大満足。
アントマンというヒーローの特質がコメディと相性バッチリで、ペイトン・リード監督の起用も流石の企画力だし、コメディ要素も下品になり過ぎず、それでいて他のマーヴェル・ヒーロー作品とは一線を画すバランスで面白かった。
ラストの決戦の場が子供部屋というアイディアも秀逸。

ただストーリーにはあまり感心出来ず、キャラクターの思惑もかなり意味不明で、特に成長(キャラによっては救済すらも)が描かれないため感情移入はし難い。
ドラマとして観るにはテンポが早すぎで、且つすぐに笑いの方に流れてしまうため雑に処理したように感じる。

特に、この物語の全ての元凶であるハンク・ピム博士は傲慢で偏屈な独りよがりの老人にしか見えず、ダレンもホープも彼の身勝手に人生を狂わされ、そして主人公スコットを半ば脅迫という形で引き入れる。
コミカルなトーンと、マイケル・ダグラスという役者力で何とか見せているが、冷静に思い返すと何かと不快に感じる行いの多い人物だと思う。

ラストの娘にワスプ・スーツを託す場面、終盤の盛り上がりに乗じて、何より続編および今後のMCU展開への厚い期待感に乗じて、何か感動的な空気で描かれているが、結局着せるの?リスクはどうなった?と疑問を抱かずにはいられない。


マイケル・ペーニャはデヴィッド・エアー監督の「エンド・オブ・ウォッチ」で初めて名前を覚えた役者さんで、人懐こい笑顔と醸し出されるワルの雰囲気がとても魅力的。本作のルイス役でも良い味出してる。
朱音

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