宝級のエズラ美がじわじわ光る作品。
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過激なネット動画にリアルを見た学生ロブは、放課後活動で映像部に入部。
みんな友達かもしれないけど友達じゃない気がする…そんな疎外感あふれる現実を、
いつしかレンズ越しの世界を作ることで逃避し始める。
ある日、そんな彼の”聖域”を脅かす事件が起こる。
学校で有名な美人双子が薬物摂取により死んだのだ。
たまたま現場でカメラを回していたロブは、第一発見者となるも助けを呼ぶことをしなかった。
彼の映像作品は評価を受けていたため、亡くなった双子姉妹の追悼ビデオを作って欲しいと頼まれる一方、
精神的に問題があると思われ、カウンセリングを受ける日々。
そしてコカインのディーラーはルームメイトだと悟ると同時に、その彼にガールフレンドを奪われた彼は、
あるとき自分の背後のとてつもない不快感にかられるのである…
という話。
フィルムの枠は”囲われている世界・安心感”でもあり、
一方で
“行き場のない閉塞的世界”でもある。
非常に静かな作品だが、
カメラを向ける側の罪と
それを画面越しに視聴する側の罪 という罪悪の類似性や、
レンズの世界を信じすぎると現実という世界に盲目になり
混沌を招きやすい現代的問題が提示されてるように感じた。
“カメラを回している人”だけが悪いのではない。
みんな”回している”のに、”回していない”ふりをしている。
みんなどこかで”撮られて”いて、みんな”視聴の対象”なのだ。
暴力も死も、見てるもの全てがエンターテイメントになりうる。
リアルを映しているはずが、ある人にはフェイクになる。
フェイクを映しているはずが、ある人にはリアルになる。
私たちはそんな世界に生きているのかもしれない。