かじられる

アメリカン・スリープオーバーのかじられるのレビュー・感想・評価

4.2
色んな本音がこぼれ落ちてしまうから、夜はいつも暗くて、帳のように守ってくれるのかな。

お泊まり会なんて魅惑の響きの中、アルコールも入って口を吐くのは、独白のような告白のような埋もれた叫び。背伸びした想いがここあそこで突発し、通過儀礼のような緊張した時間が黙々と刻まれる。

それを青春と呼んではいけないのだろう。そんな時もあったね、なんて言ってもダメなんだろう。誰かを想う真摯な気持ちは大人になっても変わりはしない。行き着く場所が当初と違ったり、求めている人を探し当てても何も変わらなかったり、タンポポの種のように、ぼくらは無謀で突飛な存在だ。

漆黒の闇は衝動を隠すどころか、あらわにし、あてどなくさまよわせる。すべてを夜のせいにしてしまうのは簡単だ。慟哭が、その場しのぎの微笑で留まってる。やがてすべては打ち消されていく。追い越したのは、ぼくらより早く気配に気付いた街の外灯なのか、理性なのか。

朝まだき、醒めたような気だるさに焼きつく記憶を重ねた。
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