マヒロ

ゲッタウェイのマヒロのレビュー・感想・評価

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)
3.5
刑務所に入れられたドク(スティーブ・マックィーン)は、妻のキャロル(アリ・マッグロー)に頼んでギャングのボスに口利きをしてもらいまんまと釈放される。代償として銀行強盗の仕事を任されるが、途中で仲間の裏切りにあった夫婦は金を持ったまま逃亡し、ギャングや警察に追われる身となる……というお話。

『ゲッタウェイ』というタイトル通りひたすら逃げ回るドクとキャロルの夫婦を描いており、ペキンパーらしいスローモーションでたっぷり見せてくれるカーチェイスや銃撃戦など、ここぞという場面でのアクションシーンは流石の格好良さ。
マックィーンもいつものように寡黙で格好良い男を演じているが、妻が自分を釈放させるためにギャングのボスに良いようにされたことを知ると、何故か怒って妻をぶん殴ったりと、割と身勝手で幼稚な面も見せたりする辺りが新鮮だった。

ペキンパーの映画は何かしらの終焉を描いた死の匂いの強い破滅的な作品が多い印象だけど、今作はむしろ「再生」を扱った映画とも言えて、逃亡劇はさておいて、前述の通り暴力を振るったりするドクのせいで険悪な仲になりつつあった夫婦が仲直りしていく話になっていく。男女の逃避行といえば『俺たちに明日はない』とかもあるし、今作もそういう悲しいオチが待ち受けているのでは……と勝手に思っていたので、真逆の爽やかなラストでビックリしてしまった。それはそれで良い結末ではあるんだけど、その前の最後の戦いがちょっと消化試合っぽくなってしまったのが気になるところで、執念の追跡者・ルディ(アル・レッティエリ)との決着とかもうちょっとしっかり描写して欲しかったかなという気がした。


(2022.163)
マヒロ

マヒロ