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屋根裏の散歩者のHKのレビュー・感想・評価

屋根裏の散歩者(1992年製作の映画)
3.5
ご存知、江戸川乱歩の代表作の1つ。
何度も映画化されてますが、本作は1994年の実相寺昭雄バージョン。
江戸川乱歩の生誕100年記念作品だそうです。
先日CSで同じく実相寺監督の『D坂の殺人事件』を放送してたので、シリーズ1作目の本作も観たくなって昔録画したDVD(画質がキビシ~)を引っ張り出しての再鑑賞。

時代は大正、遊民で無職の退屈な日々を送っていた主人公(三上博史)は、ある日、下宿の押入の天井から屋根裏に出れることを発見、夜な夜な他人の部屋を覗いて回るうちに、その中のある男を殺す計画を思いつきます・・・

傾いた構図、シルエット、片側に寄せた顔のアップ、柱時計の音、クラシック音楽、妙な雑音、などなどまさしく実相寺ワールド。
さらに、本作は「ウルトラ」シリーズと違い子供向けじゃないので、不気味な少女人形に女装にエロに百合にSMにと実相寺監督の大好きな要素が全開。

冒頭のタバコの煙が濛々とした下宿の一部屋は『ウルトラセブン』で実相寺監督の回だけウルトラ警備隊の作戦室がタバコの煙だらけ(子供番組なのに)だったのを思い出します。

同じ下宿の遊民で、まだ探偵事務所を構える前の明智小五郎を演じるのは嶋田久作(当時39歳)。監督とは『帝都物語』からの付き合いですが、それまで明智探偵と言えば二枚目が定番でしたからこの個性的なな容貌の明智はかなり新鮮でした。
出演は他に宮崎ますみや六平直政ら。
実相寺組常連の寺田農、堀内正美、加賀恵子もいます。

今回あらためて観ると、本作や次の『D坂~』の耽美+幻想+犯罪のテイストは後に実相寺監督が『姑獲鳥の夏』を撮る伏線になっていたことが窺われます。
京極夏彦は実相寺監督の大ファンですから自ら推したのかもしれません。
結果・・・『姑獲鳥~』は雰囲気と美術は絶品でしたが・・・
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