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D坂の殺人事件のHKのレビュー・感想・評価

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)
3.8
前作の『屋根裏の散歩者』に続き本作も実相寺昭雄監督の江戸川乱歩。
やはり何度も映画化されている乱歩の代表作の一つですが、ストーリーは『心理試験』や『屋根裏~』の要素も混在しており原作とはずいぶん違うようです。
ちなみにD坂とは東京都文京区に実在する“団子坂”のことなんだそうな。

『屋根裏~』の三上博史の女装に続き、本作では真田広之が冒頭から妖しい女装を披露。
真田(当時37歳)演じる主人公は腕利きの絵画の贋作師、伝説の絵師の作品の偽物の制作を請け負いますが、それが殺人事件へと発展していきます・・・
そういえば『屋根裏~』でも寺田農演じる怪しい絵師がやっぱり緊縛女性を描いてましたね。

明智小五郎は前作に続いて嶋田久作(当時43歳)ですが、原作では本作で初めて明智小五郎の登場なので映画は順番が逆です。
本作の明智は前半では『屋根裏~』と同じく下宿暮らしで無職の遊民ですが、後半は明智探偵事務所を開業して凛としたスーツ姿で登場します。
小林少年を演じるのはなんと女性の三輪ひとみ(当時20歳)。
他に岸部一徳や東野英心、六平直政も。

実相寺演出は本作でもやっぱり庵野秀明がパクリまくってる実相寺アングル、シルエット表現、それに女装趣味から始まってエロとSM大好きでヴァイオリンの音色・・・
今回は屋外のシーンは全て紙でできたミニチュアと人形(ヒトガタ)という斬新な手法。
前作よりは無駄(?)なエロ描写が少しだけ減って、本作の方がまとまりはよいような。

ところで、本作の撮影時期がTV『ウルトラマンティガ』の実相寺監督回2本と近かったため、本作の出演陣が当時のティガにスライド出演しています。
GUTS隊員が花見をする回「花」では原知佐子(監督の奥様)と三輪ひとみが和服の宇宙人役。この回、ティガと宇宙人が歌舞伎バトルを繰り広げるぶっとび回でもあります。
夢が怪獣化する回「夢」には嶋田久作・吉行由実・寺田農・堀内正美らが出演。「夢」にはさらに浅野忠信まで出てTVウルトラでは異例の豪華キャストの回でした。
今にして思えばGUTSのイルマ隊長(高樹澪)もこの回はSMの女王っぽかったような・・・

「花」と「夢」の脚本も本作や『屋根裏~』と同じ薩川昭夫。
当時、3歳の息子とティガを観ていて、「花」のオープニング・クレジットで“監督 実相寺昭雄” の文字(TVのウルトラシリーズでは約30年ぶりの実相寺監督作)を見たときは一瞬我が目を疑い、息子よりテンション上がった記憶あり。
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