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Mr.タスクのkuuのレビュー・感想・評価

Mr.タスク(2014年製作の映画)
3.5
『Mr.タスク』
原題 Tusk.
映倫区分 PG12
製作年 2014年。上映時間 102分。
人間とセイウチの融合を目論む老人の狂気を、ケビン・スミス監督が描いたホラー。
見方を変えたらコメディ。

ポッドキャストを運営するウォレスは、航海の話を聞いてほしいという老人の家を取材のため訪れる。
ハワードと名乗るその老人から手厚いもてなしを受けたウォレスだが、出された紅茶に睡眠薬が含まれており、気を失ってしまう。
目が覚めると足の感覚がなく、パニックに陥るウォレスに対し、ハワードは『これから君はセイウチになるんだ』と告げる。
一方、消息を絶ったウォレスを心配し、友人のテディと恋人のアリーがウォレスの足跡をたどっていた。。。

今作品は最終的に、心を揺さぶるグロテスクなホラー映画であると同時に、コメディ色を兼ね備えつつも現代社会、中毒性の高いテクノロジーからくだらないポッドキャストまで、この世代がもたらしたものについての思慮深い探求として機能してる。
今作品の主人公は、憎たらしいほど不愉快で思い込みの激しい20代のウォレス(ジャスティン・ロング)で、彼はまさにこの文化のナルシストで無神経な若者を象徴している。
しかし、それだけでなく、人間と動物、人間性と岩や冷たさを本当に分けるものは何なのか、ということも描いてる。
ウォレスは友人(ヘイリー・ジョエル・オスメント!)とコメディ・ポッドキャストを主催しており、彼らのやり取りや行動は、ケヴィン・スミスが実際のポッドキャスト(「SModcast」というおふざけタイトル)でスコット・モジエと『仲間』になっているのと非常に似ていて、ひっきりなしに笑い、冗談を云い合う。
ある日、ロングは片足の障害を持つティーンエイジャーにインタビューする機会を得ます。
彼は偶然に自分の足をサムライ刀で切り落とし、Youtubeで驚異的なバイラルビデオとなったことで有名(ちなみに完全にフィクションです)。
基本的には、名声に飢えた若者たちが、死に至らしめた子供を題材に、自分たちの番組をさらに普及させる機会を得たということ。
何が新しいのか。
主人公は、計画したビジネスがうまくいかないと、すぐに怒りに触れる。
代わりに、ウィニペグから2時間のところにある不気味で隔離された屋敷を訪れ、彼の最悪の悪夢が完全に実現することになる。
今作品についてもう何度も書かれてることやろけど、今作品は、どこか陽気な『ムカデ人間』のような作品と感じた。
衝撃的にひねくれたダークなコメディ。
大胆で妥協のない恐怖の物語。
んん、そして同時に驚くほど陽気な物語という珍しい味わいです。
久々に見る不穏な光景を目の当たりにし、罪悪感で笑いをこらえながら。
これぞ 偏屈の極み。
登場人物が泣き叫び、命乞いをし、拷問を受けながら、観客はヒステリックになる。
さらに、今作品の面白さを大幅に高めているのが、この映画で最も面白い部分でもある、実に意外なカメオ出演もあった。
(娘はクレジットされてたが、父親はノンクレジットでカメオ出演)
今作品の本質は、編集の仕方やカメラアングルの選択に関しても、終始楽しいおふざけであり、驚くべき詳細をすぐに明らかにすることを控えているからか、観てる側を不安にさせ続ける。
今作品では、登場人物の目の前にあるものを見る前に、衝撃的な表情やその他の反応が見られることがよくあり良かった。
しかし、今作品は、特にラストに関して、引き延ばされているように感じられたのは否めない。
通常、ケヴィン・スミスの脚本は、脚本家たち(クエンティン・タランティーノ、ウディ・アレン、リチャード・リンクレイターなど)のように会話の説得力のある本質を捉えて、最も輝いているんやけど、その能力は残念ながらこの作品では説得力を持って発揮されなかった。
実際、多くの会話や対話があまりにも長く続くので、スミスの脚本は15分間の逸話や格言に夢中になれるほど卓越したものではなかったと推測される。
結局のところ、物語が最終的に目の前の見え透いた長引く議論から移動し、最初に見に来た悲惨な物語を続けることを望むだけ。
結局のところ、今作品のような作品には中々出会えることはないのが今の映画界。
こないなクソジャンルが個人的には好みだし見る価値があったのはあったかな。
ジャスティン・ロングとマイケル・パークス(不気味な屋敷の主人役)の力強い演技、徐々に怖くなっていく筋書き、そして奇想天外なユーモアは、今作品がいかに(マジに)ぶっ飛んでいるのかを、すぐに忘れることはないやろうなぁ。
kuu

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